通常コラボ小説 | ナノ


The two people
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其々徒然
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Tying string
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不可視的空想論
 ↓
Small existence
 ↓
answerable
 ↓
Visitor
 ↓
愛しい他人事
 ↓
Hardship


の順で読んで下さい。
リレー小説も遂に完結。永倉さまと話し合いをして書きました。


※鈴芽視点。

















ツバサさんがイヨの耳元で何かを囁き、真っ赤になったイヨをエレベーターでもち帰った。

俺の予想で、俺等とソラみたくただ普通に喋って、ただ普通に解散。なんてコトは無いだろうな、ツバサさんの性格上。
「束縛する気はないんだけど、ね?」
とか絶対束縛する気満々だろ。


「…鈴芽。」

「どーした?」


くいっとソラが俺の服の裾を掴んで何かを心配している様な声色で俺を呼ぶ
多分心配している人物はイヨだろうな…俺も同じだし


「あのさ、やばくない?」

「…同感。」













少し小走りで…あ、間違えた。
俺にとって小走りなだけからソラにとっては走ってるだ。

あれから走ってツバサさんとイヨがいる部屋に向かう。
そして部屋の前に着くとソラはノックもせずに…正確にはノックをしたらツバサさんに絶対「入っちゃ駄目。」って言われるから遠慮容赦なく扉を開けた。


「…………………。」

「…………………。」


その光景に俺とソラは唖然。
理由はまず俺等なら無いであろう光景だったから


ツバサさんがあの男勝りで結構強いイヨを押し倒していて、なんとまぁ用心深い事でイヨが逃げられない様にアイツの銃と携帯をデスクの上に置いて没収していた。

一番驚いたのはイヨが柄にも無く瞳に涙を溜めていたってところだ。きっと鈴見でも彼女を泣かすってコトは……ある、のか?いや、あまりないな。ないない。少なくとも俺はしない。

話を戻すと、簡単に言えばまさに今からイケナイことするよって場面だった


間が良いのか悪いのかそんな場面に出くわしちまって、「鈴芽、助けろ!」とか「離せ変態っ」とか言いながら足や腕をバタつかせて必死に抵抗しているイヨを押さえながらツバサさんがこっちを見る。

ヤバい、視線が痛い。
「用がないならさっさと出てけよ」みたいな視線が凄い痛い。

何か話さないと…そしてあわよくばイヨを助けないとな、俺もソラもその気で来たし。


「俺等はもう大丈夫だから、心配すんな」


今一瞬、自分が何を言ってるのか解らなくなったってのは内緒。

事の始めは今、イヨを押し倒しているお節介なクソ老…ご老人が俺等の関係を心配してくださったのが始まりなワケで、だからとりあえずその報告をしてみた。

ソラも俺の話に合わせようと頷いたりしてくれてる。



そこで突然、鈴見が中から話しかけてきた。何か言いたい事があるっぽい

俺は人と話すの苦手だし、口喧嘩とかだったら尚更だから鈴見に体を貸した。


「つかさっきからなに人前でイチャイチャしてんだよ。イライラすんだよ。マジで爆発させんぞ。」


俺とは違ってドスの効いた声で言う鈴見。それに対してあの人は「コミュニケーションだよ。ちょっと過激な」と笑いながら言った。
けどついにイヨが能力の棘を使い始めてきたし、それを爽やかに避けたりしているツバサさんだけを見れば「あ、ちょっと過激なんだな」って思えるけど実際ちょっと過激どころじゃない。超過激なコミュニケーションに俺は見えるが?

当然そのツバサさんにソラはため息…
中にいる俺もため息をつきたいよ…


「は?女泣かして何言ってんだよ。メッシュだけ燃やすぞ年寄り」

『鈴見、テメェ人のこと言えないんじゃねぇか?』

(うるせぇな、ガチで泣かすかっての
それに俺の場合泣かすは泣かすでも別な意味の泣かすだ)

『…そーかい』



そんな会話をしていたらツバサさんが「おや、怖い怖い」両手を挙げて降参のポーズをとったけど実際降参してねぇだろ。

そしてソラは我関せずという感じで持参した菓子をバクバクと食ってるし…可愛いからいいけど


そこで、状況が一変した。

突然、菓子を見つけたイヨがツバサさんを蹴飛ばしてソラに近づき、ソラ、呆然。
ちなみにツバサさんは受け身をとって呆れる様にため息をつきながら椅子に座った。

「あ、良いなー…少しくれないか?」

「は?」

「だって任務で疲れたし…甘いの食べたい。ハッキリ言って今ツバサはいらない」

「ヒャハハッうわ、いらないとか!いらないとか!!いらないとか!!」


イヨのいらない発言を聞いた鈴見はツボに入ったのか大爆笑。

(あー面白ぇな。あの女、彼氏より菓子を優先しやがった。笑いとまんねぇよ。…ってワケで鈴芽、変われ)


『は?何言って…うわっちょ、引っ張るな!』


鈴見が無理矢理俺を表に出そうとして、抵抗したけど気がつけば俺が表に戻っていた。

…何か今日はよく入れ換わるなー

にしても…

『…どういうコト?』


「俺はいつまで温厚にしてればいいのかな」




いきなり表に出されて正直言って戸惑っている俺の耳に若干キレ気味に言っているツバサさんの声が入ってきた

その声にソラはまずい、と思ってイヨにちゃっちゃとお菓子渡して自分のは仕舞う

ソラからもらったお菓子を食べて、いつもの調子を取り戻したイヨがツバサさんを見て


「ずっとそうして…むぎゅっ」


あ、何かヤバい。本気でヤバい。

何か言おうとしたイヨの口を俺が手で押さえてその後の言葉を言わせない様にした。

俺がイヨに触ったコト、ツバサさん怒ってねぇかな…
とにかく、イヨを逃がさないと…


「じゃ、じゃあツバサさん…任務の報告とか、イヨ、い、色々あるから…その、えと、つれて帰ります…」

「ごめん、俺今すっごく暴力的な話し合いがしたい気分なんだよ」


えっ…即答?


ツバサさんが椅子から立ち上がると、ソラに冷や汗がつたう


「あー、オレ今誰かと手合わせしたい気分ー」


棒読みでフォローに入るソラ。
ナイスだソラ。有難う、マジで感謝。


「そ、そっか、イヨは二丁拳銃だしなー。色々共通点あるし…うん。イヨと手合わせしてこいよ。つかしてくれ。なるべくここから離れた場所でしろよ?危ないから」

「任せて」


焦りながら俺とソラが会話をして、そのままソラがイヨの手をひいて出ようとするが、



パァンと銃声



音の方向を見ると扉にツバサさんが銃で穴を空けていた。

二人の間を通って銃弾は扉に穴を空けたのでソラとイヨは冷や汗。
ツバサさんの「逃がさない」って気持ちがヒシヒシと嫌でも伝わってくる


…こりゃ本当にヤベェな。
こんなところで偽能者の本気出すのは惜しいけど、そんなコト言ってる場合じゃねぇ

俺はツバサさんになるべく目線を合わせない様に普通の奴から見れば消えてる様にしか見えないけど、俺にとっちゃ歩く様な感じで扉のところからデスクまで移動して、さっと銃と携帯を取ってイヨに渡す。

そしてそのまま扉を開けて、頭に?を浮かべているイヨと状況を飲み込んでいるソラの背中を押した。


「はいはいさっさと行けっ!」


背中を押して、そのまま走って行く二人を見てから扉をパタン、と閉めた。

きっとさ、俺の後ろでツバサさんはさっき見たいな絶対零度の笑みをしてるんだろうな…

振り向くのが怖くて気まずい沈黙が流れる。
でも何か話さないと振り向かないと…


「は、あはは…あはははは…ま、良いじゃんか。な?たまには、………ダメか?」


ほらー!振り向いたらツバサさん絶対零度の笑顔してるじゃねぇか!!
もう乾いた笑い声しか出せねぇよ俺。めっちゃ怖いんだが…


「ッチ」


その俺の気持ちが伝わったのか否か、よく解らないけど舌打ちして不機嫌のまま再び椅子に脚を組んで座り直したツバサさん。

もうとにかく帰りたい…


「じゃあもう俺、用無いんで失礼します!」

「ちょっと待ちなよ」


あ、やっぱりそう簡単に帰してはくれないのか…?

ツバサさんが俺に声をかけて立ち上がり、近付いてくる。



「な、なんでしょうか…」

「一緒にイヨたちを迎えに行こうか」



……………は?

アイツ等、ついさっき出ていったばかりなのに引き戻そうってか?どんだけ執着してんだコイツ。

そう考えてたらいつもの俺に戻ってきた。
と言うか色々吹っ切れた。
怖いとか思っても、いくら不老不死で歳が四桁五桁でも、こういった人間くさいところがあるって事が解ったからなのかもしれない。


「あーダメだろ。今言ったばっかりだし」


にこり、となんとなく笑って言ってみるがツバサさんは構わずドアノブに手を伸ばす。






―――――――フザけるなよ?


「しつこい男は嫌われるって言うだろ?」


思わずツバサさんの腕を握ってしまった。どれぐらい力を入れたとか関係ない。ただこの場にコイツを引き留められれば良い。


「ただ純粋に迎えにいくだけだよ。ほら、武器持ってないし。」


クックッと笑いながらさっきと同じ降参のポーズをとっているが何か嘘クサイ


「………にしても早すぎるだろって。」

「そうだねぇー…。」


軽く睨んで言ったら、ツバサさんは握られたままの腕を見てから夕陽に染まる窓に目を移し、なにかを考え始めた。コイツの行動は何かしら意味がある様な感じがするのは俺の思い違いだろうか?


「……?どうかしたのか?あ、悪い、腕握ってたまんまだった。折れてないか?」


とりあえず俺は不思議に思いながら手を離すと「そこまで柔じゃないよ、俺」とツバサさんは言ってきた。


「よし、男二人で雑談でもしようか」


突然、ツバサさんが話を変えてはソファに座るよう促してくる


「?… 解った。」


機嫌治ったのかよく解らないがとにかくあの二人を追わなくなったから、まぁいいか…

ツバサさんに促されて座ると
「俺気まぐれでしょ。」とテーブルに出してあったものをさげてくれながら言ってきた。

…アンタから気まぐれって云う言葉が出てくるなんてな。
そこには深く触れない様にしておこう
俺も色々言われなくないコト沢山あるし。


「気まぐれって何だ?あ、ご丁寧にどうも…」


でもちょっと気になるからさげてくれているツバサさんに頭を軽く下げてから言ってみる。


「辞書引け、若者」


口を手で抑えて笑うツバサさん。


「…一応若者じゃねぇし一応アンタの事を考えて使ったんだが…まぁアンタがそう思ってるのなら良いや。」

「俺の事?鈴芽くんはまだ若い若い。ついこの間生まれたばっかでしょ?」


そう言ってさっきとは違う絶対零度の笑みではない微笑みをしながら俺の頭をぽんぽんとしてくる。


「そうそうアンタの事。まぁそれは置いといて…ちょ、触んなっ。アンタから見りゃあ若いかもしんないけど俺だいたい160歳だから!」

「わっかー。俺がそのくらいの頃は…、なにしてたっけ。まあいいや。」


やっぱり長く生きてると忘れちまうのかな…

そう思いつつ、手を伸ばして頭を触ろうとするツバサさんに抵抗してみる。本当に頭はやめて欲しいっつーのに…


「だから触んなっつぅの!で、何を雑談すんだ?」

「たのしいなぁ。雑談、とくに何も決めてないよ。」


何とか話を戻そうとしてみるが特にないらしく、あ、雑談って特に理由が無いから雑談って言うのか…


「…そうかよ。でも頭触るのはやめてくれ。癖ッ毛だから触られたら余計に酷くなる」

「じゃあ触る。ところでソラの事好き?」

「大好き。」


即答するに決まってんじゃねぇか。
頭触るのやめろって言ってみるけどこの人には意味が無いらしいので諦めた


「結構。でもソラはいつ死んでもおかしくない。明日死ぬかもしれない。もしかしたら今―――」

「だからっていきなり愛すことをやめることは出来ねぇよ。俺だって、明日死ぬかもしれないし。今、狂って自分自身を殺してしまうかもしれないからな」


ツバサさんの言葉を遮り、俺は言う。

んなのハナから承知してんだよ。
でも大好きなんだ、愛しているんだ。
すぐ理性が効かなくなって狂ってしまう俺が、ソラも愛してもいいのかって付き合う前や付き合って始めの頃は何回も思った。
でもそんなの意味は無くて結局好きって気持ちに戻ってしまう。
だから死ぬとか狂うとか、そんなのはなるべくその時になってから考える様にしたい。
それまでは精一杯彼女を愛したい。
そう決めたんだ。


「ならもう老人は何もいわないよ。弱唯我独尊のソラをよろしく」

「弱唯我独尊か…成る程、確かに。じゃあ俺はさっきも言ったけど超天然マイペースのイヨを宜しくなっと」


俺の答えを聞いて、ふっと微笑むツバサさんにつられて俺も小さく笑う





「もちろん」


そう言ったツバサさんの声はやけに真剣に聞こえて、この人ならイヨを任せられるかなって思った。








END




―――――――――


ぐだぐだ文すみません!


今回のリレー小説は何となく長く続いて楽しかったです!!

ありがとうございました!!




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