通常コラボ小説 | ナノ


「今日のイヨはマイペース過ぎる。任務で疲れてイライラしてたんだな」


暫くの沈黙の後、はぁ…とため息をついて鈴芽が呟く


「君もなかなか大変だね」

「ツバサさん程じゃない。あ、あとさっきはえっと…悪かったな。」

「何が?」


「不死のコト本当かって聞いて。そんなの聞いたコトなかったから、つい」

「あーアレか。別に気にしてないよ」



そう言ってもどこか他人に一線引いてる様な相変わらず読めないツバサを鈴芽は不思議そうに見てあの時の事を思い出した


「…………何かが消えた。」

「?」

「アンタがソラの部屋から出ていった時、アンタの何かが消えた様な気が一瞬したんだけど……ま、良いか。それぞれ事情があるし」


深い翡翠の様な瞳で鈴芽はツバサを見るが彼は困った様に苦笑しただけだった。


…やっぱり言えないよなぁ
アンタからは俺と同じ造りモノの匂いがするなんて。


『俺が言ってやろうか?』

(ダメだ)


「それは君にも?」


鈴見と会話をしていたら、ツバサの声で現実に引き戻されたがよくある事なのでいつもの様に鈴芽は話す


「あるけど、多分ツバサさん程じゃない」


同じ言葉を二度言って、鈴芽は緊張したのか背伸びを一回した


「イヨの周りには面白い人がいっぱいいるね。じゃあ俺からも質問。」

「?」

「鈴芽って本当にもう一つ人格あるの?あったら話したいな」


「…鈴見のコトまで知ってるのかよ。
確かにもう一つ人格あるけど…今呼んでも出てくるかどうか…あ、出て来たがってたっけ」


一瞬嫌そうな顔をしたが目を瞑って中にいる鈴見に話しかける


「…だから嫌か嫌じゃねぇのかはっきり言えよ。あーもう仕方ないな…」

「無理なら良いよ?」

「大丈夫。仕方ないな、これやると暫く眠っちまうが…無理矢理引っ張り出すか」


そう呟いたと同時に鈴芽は突然体から力が抜けソファーに体を預ける様な体制になった


「―――――――――!」


するとピリッと周りの空気が重たくなるのをツバサは肌で感じとり面白いと口を緩ませた


髪と瞳の色以外は華奢な体格で人と関わるのが苦手だけども優しい性格の普通な青年でしか見えないのに人格をもう一つ持っているなんて誰も思わないであろう

その青年がどうして一歩踏み間違えれば危険な狂気によくのまれそうになり、どうしてもう一つの人格が出来たのか。ツバサはそれを考えていた


数秒後、鈴芽がゆっくりと目を開けると瞳がどう見てもヒトからの遺伝子配列では生まれる筈がない…つまり有り得ない様な碧眼とも違う透き通った青の瞳がツバサを見据えた


「テメェがツバサかよ」



「君が鈴見くん?本当に目の色変わってるね」

「ソラの部屋の時もまじまじ見やがって。寝れなかった」

「それはゴメン」

「テメェが不死ってヤツか…」


鈴見は何かを探る様な瞳でツバサを見つめた。


「俺の顔に何かついてる?」

「別に?ただテメェの中は面白そうだな、と。鈴芽も何か感じてたッポイけどテメェのコト考えて何も言わない。だけど俺は違うぜ?言いてぇコトはっきり言うしやりたいコト思いっきりやるタイプだ」

「じゃあ鈴見くんは今なにをしたいの?」


ツバサの問いに鈴見は小さくハッと呆れた様に笑った。
そしてにこり、と鈴芽に近い微笑みをすると彼なら絶対言わない言葉を口にする


「そーだな…久々に外に出てきたからやりたいコトは沢山あるけど今一番したいのは、テメェを爆ぜさせたいな」

「……まだ怒ってるのかい?」

「怒っちゃいねぇよ。ただな、さっきテメェが『首を切り落とす?素手で心臓をえぐりだす?頭を割ってみる?脳を撃ち抜いてみる?』って言った時、俺『も』少しトキめいたんだよ。もし宜しかったら殺らせてくれないか?」


ツバサは「もし宜しかったら一緒にお茶しませんか?」と言う感じで自分の事を殺していいか?と聞く鈴見にも驚いたがそれよりも『俺も』と言う言葉に違和感とその言葉の意味に仮説をたてていたが、あえてそこはスルーして話を続ける


「トキめいたとか不思議な表現するね君。だけどさっきも言った通り…

「人様に自分の死に様を見せたくねぇんだろ?だけど心配しなくていいぜ?大丈夫、シンプルなヤツからエグいヤツまで俺等は他人の死に様を沢山見てきたし実戦してきたから」

「そう言う問題ではないような気がするな」

「………なーんてな今は殺さねぇよ。ソラいるし、爆発音でイヨも来たら俺だって対処しきれねぇ。…あ、そう言えば…ソラは何処だ…?…ソラの部屋か。」


「予想ではそんな感じかな」

「違ぇよ」


面白そうに自分達を見るツバサを鈴見は睨む


「気配探った。このデカイ建物内ならだいたい探れる。」

「凄いね」

「昔鈴芽が改造させられたんだからこれぐらい読めて当然」

「……………改造?」


聞き慣れない鈴見の言葉にツバサは聞き返し、鈴見は心の中で口が滑ったなと思ったがすぐ気持ちを切り替えた


「ご本人の鈴芽は無理矢理人格変えた反動で寝てるからあまり言いたくねぇがガキの時、結構なペースで体イジられてたからな。これぐらい出来なくちゃダメだろ。
じゃねぇと廃棄されるし。
おかげで髪も目も反動でヒトじゃ有り得ない色になっちまったしよー」


証拠に手術のツギハギ痕みるか?と鈴見はツバサに言うが彼はいやいいよ。と興味は少しあるが何故か無いとあっさり言った。

その不自然な感覚を鈴見は見逃さない


「君が生まれたのもその所為?」

「――――聞き過ぎは厳禁だぜ、死に損ないの年寄り」


興味津々に訊いてくるツバサに鈴見は主人格の鈴芽なら言わないであろう暴言を口にするとやはりツバサは面白そうにクスクス笑った。


「ンだよ…」

「君らは全然違うんだなーって」

「クスクス笑いやがって…俺的には得体の知れないテメェの存在の方が面白いけどな。付き合ってる女が大変そうだと思ったら余計に面白い」

「………………は?」


楽しそうに口に弧を描いて仕返しにイヨの事を持ち出す鈴見。

…顔つき変わった。やっぱりアイツのコトになるとさすがの不老不死様でも反応するんだなァ


「いやいやこっちの話だぜ?アイツもアイツで色々あるしなァ?他人の俺がどうこう言える…………っつ!」


突然鈴見は言葉を中断して、苦しそうに胸を押さえた


「…………鈴見くん?」


「鈴芽、テメェ…勝手に呼んどいて勝手に戻すとかマジ有り得ね…――――――――ったく」


すうっと瞳の色か青から緑に変わり同時に雰囲気も変わった。



「悪いツバサさん。ちょっと鈴見が言い過ぎた」


少し疲れた様に言う鈴芽。
中で起きたばっかりなのに人格を無理矢理元に戻したから余計疲れた。とツバサに説明した。


「鈴見くんは?」

「無理矢理中に戻した。鈴見は俺と違うからな。仕返しは3倍返しだから…鈴見の言葉気にすんなよ」

「しないよそれぐらいで」

「……そっかやっぱりアンタ面白い」

「その言葉そのまま返すよ」


ツバサの言葉に鈴芽はぽかんと口をあけ、「マジかよ」と驚いた。


「……あ。ツバサさんヤバいな」


暫くしていきなりソファーから立ち上がり談話室の扉の方を見ながら鈴芽が呟く


「何が?」

「イヨがソラの部屋出た。マジで帰ろうとしてる。ほっといて良いのか?」


「イヨも酷いなーじゃあちょっと迎えに行ってこようかな」


端正な顔立ちで意地悪そうに笑いながら言うツバサ。

…多分よからぬ事を考えてるな


「ツバサさん、あと一つ。イヨが言ったら頭ブチ抜くからなって言って言えなかったこと」

「そんな事言ってたね。なに?」





「天然さんを宜しくなって」


アイツ、色々抜けてるから。

と最後につけたすとツバサも納得した様な顔をした。


「――――――もちろん」









END



(まぁアンタの前でバスタオル一枚で現れるコトはないと思うけどな)

(え?)

(会議の時に着替える時間なかったでバスタオル一枚で来たんだよ。そのあと着替えさせたけど)

(ふぅん…)

(イヨに用事がある時に部屋行くとシャワー中だったでバスタオル一枚だったこともあったな)

(へぇ……)

(あ、俺余計なコト言ったかも…)

『バカ野郎』


――――――――――


鈴芽は性格は良い奴だけど天然。
鈴見は性格に難ありだけど現実的。




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