通常コラボ小説 | ナノ


※さりげなく繋がっていた『ずるい奴』『Amrit...』『I come to love you gradually.』『Where is the truth?』もついに完結!
今回はきちんと永倉さまと話し合いをしました。

※ツバサくんとイヨが本当に付き合う時の話。

※イヨ視点












あの日から数日たった

あれから何故かツバサとは話しづらくて、連絡さえもしてないしアイツからも連絡がこない




「なんか私らしくないな…」


昔の私なら、『リィン』ならどうしていただろう
昔の私は今の私以上に堂々としていてたのにな…


ホントだ。

うん、そうだ

イヨらしくないな

……私とお前は違うだろう?

でも同じ存在、でしょう?



リィンが私に話しかける
それは別に良いんだけど今回はあまり聴きたくない、だからリィンの最後の言葉を無視した。


……気分転換に出掛けるか。










「…………あ、」

「やぁイヨ、偶然だね。」


気分転換に、と思って出掛けたのに気分を害した根源が目の前に

しかもいつものへらへらした顔で。
でも前みたく悲しくは見えない…?

良かったね。


「…偶然だな。」

「どうする?一緒に歩く?」



……何でそんなコトが言える?
私はこの前アンタを傷つける言葉を言ったかもしれないのに

それが彼だからだよ。


「勝手にしろ」

「わかった」



そう言って、アイツは隣で歩き始める

やめて、近づいてくるな。
私のこの気持ちは一方的なモノなんだ

訊いてみれば?

訊けるワケない。言えるはずがない

「ツバサは私のコトが好きか?」って


やめてくれ。
私はそんなコト言えない。

一方的な感情を彼に伝えるコトなんて出来ない
だって、もしそれで彼に変な重荷を背負わすコトになったら嫌だ

なのに今もアンタは髪を触ったり、手を繋ごうとする。

頼むから触らないで、触るな、苦手なんだ。『昔』から触られてろくなコトがない

それにアンタに触られると切なくなるんだ。


やめて、やめて、やめ……



不意に繋がれる手。
彼の暖かいのか冷たいのかよく解らない手。

そこで頭の何かがパンッと弾けた


「いい加減にしろ、好きじゃないならベタベタするな」


思わず、手を叩いてしまった。
余計に胸が痛くなる。

あーぁ何やってるんだよ、イヨ


「別にベタベタしてないじゃん」


彼の言葉が重く感じる。
実際威圧感と言うのだろうか…それも増した感じ


「は?してるだろうが」


どんどん言葉が反れる、歪む、違う、私はこんなコト言いたくない。
それにアイツは私のコトを何も思っていないはず

どうだろうな。



「何?手繋ぐ事?」

「それを含めて全てだ。
人をからかうのもいい加減にしろ」

「からかってないよ。どこをどう捉えたらそうなるわけ?」


アンタこそどう捉えたらそんな風にベタベタ触れる?

本当に苦手なんだ、


「知らん、でも嫌だ。触られるのは苦手なんだ」

「なぜ?」


なぜって…そっちこそ何故笑って問いかけてくるんだ?
そんなに面白いのか?


「何でって触られたことがないからに決まっているからだろう?」


私が変だからか?

大丈夫、オレはオレだよ。変じゃない


「は?触られたことがないって…君何歳?」

「約250歳」

「それでよくもまぁ…。今までどう生きてきたのか知らないけど少しおかしいんじゃない?」

「…どういうことだ?」


呆れた様に言うな。
いくらなんでも察しろ

彼は面白いな。『イヨ』をどんどん混乱させる



「たった手を繋いだだけでベタベタって何?幼稚園の御遊戯でも男女混合に手を繋ぐのにさ」


幼稚園か、御遊戯か、
そんなところ行ったことない。


「…私はそんな生き方したことないから。慣れてない」


昔、この珍しい髪色と瞳のせいでよく人拐いに襲われたから…襲われるたび逃げて、隠れて、の繰り返しで触られるとろくなコトがなかったリィンの記憶のせい。それともっと別な、言葉にはできない何か。
だから触れるのは本当に苦手なんだ。

そうだな、嫌な思い出しかない

家族が生きてる時も死んでからも毎日毎日糸を張って周りに気をつけて、

死なない様に戦って、生きていた

だから兄貴は別として他人に触られたことは紲那に頭を撫でられたぐらいだし

オレはあまり人を信じないからな。

……話を換えなくては。
きっと今の私の顔はヒドイだろうから話を換えて戻さないと


「貴様こそなぜそんな『おかしい』私に付きまとうんだ?」


そうだ。
何故私に付きまとう?
私以外にも女は沢山いるのに


「知りたいなら当ててみれば?」

「当てられるものならとっくに当ててる」


私が知りたいぐらいだ。


「俺の事どう思ってる?嫌い?嫌いなら今すぐここから立ち去るといい」

「―――――――っ!」


一気にアイツの言葉が冷たくなった
また胸が痛くなった

嫌いなワケないだろう

…好きな人に嫌い?って訊かれるとこんなに辛くなるんだな。

また涙が出てきそうになる

オレも今初めて知った感情だ。
なぁ、いい加減イヨこそ素直になりなよ。
あの時みたく、彼の存在を認めた時みたく素直に本音を言いなよ。



「まあ、俺も強制するつもりないし、視界から消えて欲しければ消える。けどその前に理解してほしいことがある。」


「何だ?」















「俺はイヨの事が好き、恋愛方面の意味で」









―――――――――えっ?


「!!?そ、なのか…?そうなか…」


上手く話せない。
だって、…ちょっと待て

私は普通じゃないし、
彼は不老不死だから大丈夫だけどそれでも今まで銃で撃ったり棘で刺したりしたし、
他にも色々アイツに酷いコトいっぱいしたし、今さっきも手を叩いたし…

でも彼はイヨが好きなんだよ。
そんなイヨが好きなんだ
イヨだってそんな彼が好きなんだろ?
何気なく自分に接してくれる彼が好きなんだろ?




「で?イヨは、俺の事どう思ってるの?返事が欲しいなー」


彼が問い掛けてくる。
これ絶対誘導尋問だ


ほら、言っちゃいなよ。自分の糸をプツンと切って、

でも、リィンはどうなる?
リィンは、大好きな家族を失ったんだぞ?
私もオレだけど、一緒の存在だけど身勝手ではないのか?

オレのコトは気にするな、オレはイヨにくっついてるだけなんだから。それに過去を振り返るなんてイヨらしくないだろ?

ほら、早く糸をプツンと切ってイヨの素直な気持ちを訊かせてあげなよ。


良いのか?

あぁ。

そうか、ありがとう…

彼女の声を聞き届け、小さく息を吐く。まだ恥ずかしくて、顔をあげることができない。


「―――――き。
私はツバサが好きだ。多分恋愛的な意味で。だ、ダメか?」


「ダメって何が?」



…まだ言わせる気か。きっと、私の気持ちなどお見通しだったんだろう。

ほら糸を切ったら次はイヨが彼のところに行かなくちゃ



「ツバサを好きでいて、ダメか?一緒にいちゃダメか?」


こういう時、なんて言えば良いか解らなくなる。
言葉が支離滅裂になるのは何故だろう


「いいけど、ちゃんとした返事が欲しいな」


返事?…は、恥ずかしいのに
あれを言っただけでもう一杯一杯なのに、

あと一歩踏み出して、前を見つめて














「――――ツバサが大好きです。」


らしくない敬語を使ってしまった。
私が敬語を使って彼…ツバサは驚いているのだろうか?

良かったな、イヨ。
これで彼を本当に好きになれる。



ありがとう、リィン。
今の私は本当にどうしようもなくて、昔の私は本当に素直ってコトが実感できたよ。


「イヨ?どうしたの黙って」

「いや、何でも…な、ぃ…ふぇっ」

「?」


ヤバい、体に力が入らない。
腰が抜けそうになる

ぽたっと、頬に伝った何かが地面に落ちる

糸を切ったら全てが崩れた。


私…また泣いてるのか?
しかもまたろれつが…


「ツ、ツバサのバカ…やろう」

「どうしたのって」


ツバサが驚いて私を慰めようとする


ダメだ、アイツに頼っちゃ…


「やっぱお前死ね!」

「は、八つ当たり?」

「う、煩い!半径100キロ近づくな!」


ツバサに見えない様に涙を拭いて、また思ってもないコトを言ってしまう。


「へぇ、離れていいの?俺の事好きなんでしょ?」


涙ぐんだ私に妖しい笑みでツバサが聞く


落ち着け、私。

考えてみれば最初からコイツにペースを持っていかれているんだよな…

そう考えていたらだんだん冷静になってきた

いつもの私に戻っていく

結論は、







ふざけるなよ。



涙を拭いて、ツバサの腕を引っ張った


「…やっぱアンタはずるい。」

「!!」


きちんと、唇が触れているだろうか?

これぐらいはやらせてもらうからな



私はツバサにキスをした。


でも恥ずかしいから、すぐ唇を離す


離…あれ?離っ

なんで離せない?ツバサに頭を押さえられている?


「ツバ、…サぁ、」



キスが深く、深くなる。
彼の舌が、息が、唾液が私の中に入る
私の舌を絡めようとするから逃げてみるがすぐ捕まる。
自分の息づかいさえも聞こえてくる。
…これは俗に言うディープキスってやつか?



酸素が足りなくなって思考回路がショートする

彼の胸を叩いて離してもらおうとしても離してもらえない





苦しい、でも何故か幸せな気持ちになった。



「………ん、ぁ…やめ…ぷはっ」


暫くしてようやく唇が離された。

酸素が足りなくて完全に腰が抜けたから彼にしがみつき、何とか立っている恥ずかしい状態


「はぁ、はぁ……この………っ」




今度は酸欠で涙ぐんだ私をツバサは満足そうな顔で見る。

睨んでみるが意味が無さそうだ。







……やっぱりコイツはずるい。


でも大好きです。




(初めて恋を知りました。)

(この人になら触られても大丈夫かなと思いました。)

(私は貴方が大好きです。)





END




―――――――――

そしてここからデレイヨが開墾される(キリッ ←


以下あとがき的なもの

オレンジ色の文字は昔のイヨ、リィンです。

本編にちらっと出したのでまぁいいかという感じでこっちにも出しました。((

多くはネタバレになるので言えませんが、リィンは今のイヨを支えていてイヨも昔のリィンを支えている大事な関係なのです。

今回は長くなりました…何か変なところがあれば修正します。

書いていてとても楽しかったです!!
ありがとうございました!





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