何でも屋 (3/5) 一時間後 「家に戻って良かったのか?」 「実は、彼に遇うために学校に行ったのよ。元々学校には欠席しますって連絡入れといたわ」 「そうか。では何故休む?」 「仕事よ」 心乃原は漆黒の髪をゆらし、小さく口を緩ませながら言った。 「場所は?」 「妖怪街四条六丁目よ」 突然だが、 世界には大雑把に神々を除いて人間、天使、悪魔、妖怪、妖精、幽霊と六つの存在に分かれている。 俺と心乃原は人間ではない。昔、結構な位にいた天使と悪魔だ。 だが今そんな事は関係ない。 とにかく、妖怪街とは名前通り妖怪が住んでいる所だ。 「相変わらず賑やかな所ね。」 「あぁ」 例えるなら日本の江戸時代。全てが木造建築でガヤガヤと明るい声が響いている 「心乃原、今日はどう言った仕事だ?」 「あれ?言ってなかったけ」 「言ってない、聞いてない」 「そう…じゃあ今から説明するわ今回は……「おらぁあっ!待ちやがれ狐!!」───!!」 心乃原が説明をしようとしたら誰かの激怒した声。 珍しく彼女は素早い動きで声の方向に振り向いたので氷月も振り向いた 「待ちやがれ1000万!」 「ち、違います!こっち来ないでください!」 振り向いた先には刀を片手に自分が1000万と呼んだ者を追いかけ回す悪漢と1000万と呼ばれた頭から大きな布を被って周りに顔を見られない様にしている背の小さな青年だった。 すると心乃原が目線は追われている青年のまま、氷月の服の裾をクイッと握り小さく呟く。 「────氷月、お願い。」 「解った。」 返事と同時に、氷月は人混みをまさに疾風の様に掻い潜り、駆け青年の所へと向かった。 |