水面 (5/6) 意識が途切れて一瞬みた夢は酷く懐かしくて、 「起きて、起きてよ〜」 聞こえる声も酷く懐かしくて、 「………ん…?」 「あ、起きた。」 目を開けると僕そっくりな人物がいた 違うところを挙げるとすれば前髪にヘアピンがついていないのときれいな藍色の羽織を纏った和服を着ているぐらい。あと声も似ているけどどこか大人びていてる。顔や体型は僕そっくり。 「………ドッペルゲンガー?」 「違うよ」 即答かよ。 「君は雪瀬。僕はバティン。正確にはバティンの役職に就いてた悪魔。でも自分で名前を付けるのめんどくてさぁ名前が無いんだよね。だからバティンで良いよ」 「はぁ…」 「さて、時間があまり無いからね〜本題に入ろうか。簡潔に言おう。僕は君の前世。君は僕の転生した姿ってやつさ」 「は?」 なに言ってんのこの人。確かにそっくりだけど…こんな綺麗な羽織を僕は着てたの?あ、そんなことは関係ないか。 「君は運命って信じ「信じない!」…うん。いい答えだ。でもね、だいたいの死に方は決まってるんだよ。悪魔の僕でもね」 「悪魔って死ぬの?」 「何にでもいつか終わりはくるんだ。まぁ話を聞いてちょうだいよ。 僕は200年前にある事情で死んでしまったんだが悪魔の中でも上位の役職についていたから転生した自分について少し教えてもらえたんだ。つまり、君の生き方をね。 で、君は交通事故で死ぬことになっていた。それを利用してなんとか僕は僕の魂を保ちながら転生出来たんだ。 そして、あの交通事故の時、君に逢うためにワザと僕は身代わりになって、あの人に君を仮死状態にさせてここまで連れてきてもらったってわけ」 僕より丁寧な口調で僕の前世らしい人が長々と喋る。よく見ればなんか浮いてる長い羽織がひらひら待って足が見えない。ってそんなことより。なんとなく予想はしてたけど、これはこの人によって全部仕組まれていたってこと…? 「あの人って心乃原…?」 「うん。心乃原さんは本当に凄い御方だ。悪魔の中でも三賢者と並ぶぐらい古株だしね」 |