共鳴 本編 | ナノ


水面 (4/6)





「…………がは…っ、」


息が出来ない…何か、に掴まれてる…!?
下を見ると白い手首、なにこれ。
突然、水の中に引きずり込まれたと思ったらこれだふざけんなし、ふざけんな。


『ふざ、けんな!』


空いてるもう片方の足で蹴って手を外した。そしたら息が楽になった。水の中なのに呼吸が出来る。

つか今はそんなことはどうでも良い。

僕は心乃原が言ってた言葉を思い出す。糸を辿って、身代わりになった魂ってやつを捜す。

…と、言っても糸が繋がっている先は河底、なのかな?底が見えない。周りには手首がうじゃうじゃ現れてきた。さっさと、行かなくちゃ。変だけど河底から何かが呼んで気がする。




『こっちだよ』

…そっち?

『はやくお出で』

あと、少し…っ


どんなに足をばつかせて泳いでも、手を伸ばしても底には届かない。
逆に僕の足をどこからともなく現れた手が掴む。なんか身体がだんだん冷たくなってきた。死ぬ?だからふざけんなって…!




パシッ!!


「――――――!?」


底に伸ばしていた手が何かに捕まれた。今僕の足を掴んでいる奴らとは違う、暖かい、人間の様な体温の何か。

急いで正面を見るとそこには、




「…僕?」


綺麗に微笑む僕そっくりな何かにぐいって手を引っ張られると足にまとわりついていた冷たい手たちが離れる。


そこで僕の意識がぷつりと切れた。



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