水面 (3/6) 「さて雪瀬、やっと着いたわよ!」 ユウって人に運んでもらって三途の川の川原付近。あの世に通じるっていう川なのに誰もいなかった。心乃原が言うにはあの世に渡るための橋から遠ざかっているかららしい。 「で、僕はこの川に飛び込めば良いの?」 「その通り!糸を辿って潜りなさい。貴方の身代わりになった魂は川底付近に在ると思うわ。ちなみに時間はあと15分」 「りょーかい」 僕は適当に返事をして、潜るって言うから軽く体を伸ばしたりした。川を見ると澄んだ水に白くと丸い何かがキラキラいくつも光っている。これが魂ってヤツかな?自分で考えた非現実な答えをすんなり受け入れると川に一歩足を入れた。 ぐいっ! 「――――――う、ゎっ!!」 一歩入れただけなのに、まだ浅い筈なのに、急に何かに足を引っ張られてつい声をあげる。呼吸も上手く出来ずに僕は沈んだ。 ・・・・・・・・・ 「心乃原姐さんも意地悪ですね」 車から降りて、心乃原の隣に移動したユウが言う。 「何が?」 「完全な魂じゃない…生身の人間が三途の川に足を入れたら相手を殺す術式が川には組み込まれているじゃねぇですか!ここでの死は無になる。なのに…アタシや氷月は心乃原姐さんがこんなことにならない様に何かするって思ってたんですよ!」 「私だってしてあげかったわよ」 「…ならなんで」 「彼にこうする様に言われたからよ」 ユウの言葉を遮り静かに心乃原は言った。目線の先は川底。やけに真剣な眼差しにユウは黙る。 「彼、とは?」 「直に解るわ」 |