繋がり糸 (1/5) 心乃原を姐さんと呼び、堂々自己紹介。相変わらず、テンションが高いなと突然現れたユウについ俺はため息をついてしまう。 「運び屋…?何でも屋ではなく?」 灰々がユウの突然の自己紹介に戸惑いながらも男勝りな彼女に訊く。するとユウは頭の左上で束ねている黒髪を揺らしてにやりと口元を緩めた。やはり心乃原のそれと似ていた。 「そ、運び屋!天使抜け、悪魔抜けした者達が誰でも何でも屋にならなきゃいけねぇわけでもない。色々条件をクリアしねぇとならねぇがなりたい職業になれんだよ。アタシの場合は運び屋。他にも色々あるんだぜ」 「成る程…あれ、でも心乃原さんはこの前…」 「言うの忘れちゃってたわ」 「まぁた心乃原姐さんったら!」 「心乃原、ユウ。早くしないと駄目ではないのか?おそらく、心乃原の術で雪瀬は今現在を存在を維持しているが限度があるんだろう?」 俺はなんとか二人の会話の間に口を挟め、話を戻した。心乃原とユウは話を続けようとしたらいつまでも続く。女って本当に凄いな。横を見ると雪瀬が無表情だが何処かイライラしている様に見えた。表情に関しては俺に似てるから解りやすい。 「そうね、時間はあまり無かったわ。車に乗っても良いかしら?」 「勿論だぜ心乃原姐さん!さて、」 「?」 心乃原に笑顔を見せてからユウは突然、雪瀬に向き直り手を差しのべた。何となく雪瀬がその手を取ると車のドアの前に連れていきもう片方の手でドアを開けた。 「さぁお乗りください、お客様」 どうやら漸く仕事のスイッチが入ったらしい。 |