〇〇屋 (1/4) 「起きるのか…?これ」 「いつかは起きるわよー」 「で、ですが…」 誰かが僕の周りで話してるなぁ…起きないと。煩くて寝れやしない 「ん…」 目を開けるとそこには灰色の髪に翡翠色の瞳、そして普通なら有り得ないであろう狐みたいな耳が生えている少年。 夢かな…? とりあえず、夢かなと思い今の今まで寝ていた自分ではなくそいつ…灰々の頬をつねってみた。 「あ、起き、いたたたたっ!いた、いたいっ!ほっぺ!ほっぺぇ!」 「誰?」 「いひゃい、やぁぁぁあっ!」 「誰だって言ってるだ…「やっと起きた〜御早う、雪瀬」…?」 「でももう夜だから御早うは変かしら」 「ひのはらひゃん!ぐえっ」 頬をつねられている灰々の頭を台にして、微笑を浮かべながら心乃原が言う。つい雪瀬は灰々のつねっていた頬から手を離してしまった。 それから布団から起き上がり雪瀬は自分の状態と周りの風景に眉を潜める。 なんで和室…? それよりなんで僕白い服着てるんだ…?死んだ人が着るような…確か死装束だっけ あれ、そう言えば僕、さっき 「死んじゃった筈なのに、なんで生きてるの?」 「!!」 「かしら?」 相変わらず読めない微笑を浮かべながら心乃原が雪瀬の台詞を奪って先に言う。 そしてそのままの笑顔と能天気な声色で再び話をし始めた。 「結論から言うわよ。 心配しないで。貴方、きちんと死んでるわ」 |