初日 (2/6) 時間は流れ流れて昼。 「か、灰々くん!私達と一緒にお昼ご飯食べない?」 「食べない?食べない?」 「え、えっと…」 現在灰々は女子達に群がられていた。 理由はその小学生よりの容姿と綺麗すぎる丁寧で敬語な口調だからだった。 「灰々、昼飯食いに行くぞ」 「あっ…」 困り果てた灰々に渡し船を渡したのは氷月。 相変わらず無表情で棒読みな口調だったが女子の目は灰々と氷月を行ったり来たりしている。 「ね、どうせなら法塚くんも一緒にどう?」 「そうだよ〜いつも心乃原と一緒じゃん!付き合ってるの?」 「…そうじゃないが、悪い。じゃ」 あっさりと慣れた様に女子達を回避するともう一回灰々を呼んで、灰々は申し訳ないので女子達に「ごめんなさい、また今度で!」と言って氷月に着いていった。 「心乃原さんはどちらに?」 「先に校庭に行ってる。お前について聞きたい事もあるらしいからな」 「………僕に?」 「あぁ」 「あの…では僕も聞きたいことがあるのですが」 言いずらそうに灰々が小さく言う。 「何だ」 「その右手に持っている大きめの三段の弁当箱は一体何ですか?」 「…何も言うな」 そう言った氷月の顔はやはり相変わらずの無表情だったがどこか遠い目をしていた。 ……やっぱり氷月さんって家事全般やっている。もしくはやらされている…? とりあえず、灰々はそれ以上何も聞かなかった。 |