共鳴 本編 | ナノ


頼み事 (5/7)

「おっと!!」


気絶して倒れそうになった灰々を受け止めた獅子河原はさぁて、と呟いた


「心乃原、氷月…ちょっと頼み事あるんだけど良いか?」


「なんとなーく解ってたわ」

「バカ河原め」












暗い…暗いなぁ…

そう言えば、獅子河原さんにデコピンされて気絶したんだっけ?


あれ?暗いのに懐かしい…






『と云う訳で………だから…』


あれ?声が聞こえる

この声は、僕?
なのに声の主は見えない、
ついでに僕自身の姿も見えない

真っ暗な世界で声だけが響いてる



『本当に良い…か?』


ん…?今度は知らない人の声だ。がさがさノイズ見たいなのが入ってて全部聞こえない…もどかしいな



『うん、これで良い……だよ。
だから、………な?』

『…解った。アンタが望むなら』


『有難う、僕はもう少ししたら記憶が無くなるからね。君が居てくれて本当に良かった』




!!!!?

記憶の無くなる僕は記憶が無くなるって解っていたってこと!?

本当の僕って結構頭よかったんだなー…



『記憶が無くなった僕はきっと閻魔様が気づいて御呼ばれされるんだろうね』

『……そうか』

『悲しむなよ、大丈夫だから。
逆に僕は楽しみなんだ。あの記憶はアイツに守ってもらうし…性格が難だけどね。だから────』








だから、だから何?

お願いもうすこ……し













「お、起きたな!!」


灰々が目を覚ますとまっすぐ目の前に獅子河原さん。
そして何かを枕にしているのに気付いた



『誰の膝枕だろ…心乃原さんかなー心乃原さんだと良い…






「うわぁぁぁっ!閻魔様の膝だったぁぁぁっ!!」

「俺でそんなにショック!?」

「だから言ったじゃん私がしてあげるって」

「でも気絶させたのワイだし〜
それに閻魔様の膝枕ってレアじゃね?」

「自分でレアとか言うな気持ち悪い」




「あ、あの…」

「んー?何か思い出せたか?」

「はい。
一つは、僕は記憶が無くなる事を元から知っていたらしく
一つは、誰か知り合いと話していて
一つは、記憶が無くなったあと獅子河原さんが呼ぶのを知っていて
最後に、無くなった記憶の他にある記憶を誰かに預けたらしい…です。」

「記憶が無くなる前の貴方はとても賢かったのね」


心乃原が興味深そうに言う。
記憶が無くなった灰々も本当に凄いと言いながら首を何回も縦に降った



「さて、バカ河原。」

「獅子河原だって」

「どっちでも良い。この狐を隔離する理由をさっさと教えろ」

「どっちでも良くないっつーの」


茶番に厭きた氷月が獅子河原に問い質すと心乃原も彼に目線をやった


「あーそうだったなぁ
じゃあ一つ訊くけど100年前まで結構有名だった空狐を知ってるか?」

「博識高い頭脳と高貴な容姿の妖怪の中で唯一神王と仲が良い狐、『灰香』の事かしら?」

「はいか?」


灰…?ちょっと待ってよ…


「そ、灰々の思ってる通りお前さんの事だ」

「はぁ!?僕そんなに頭良くないですよ!!」

「記憶が無くなる前が頭良かったんだろー?ちなみに灰香ってのはお前さんの偽名やな。」

「でもその狐は空狐なんでしょ!?僕九尾でもあるんですよ!尾が九本あるんですよ!?」

「尾ぐらい消せるだろ?悪狐が神王と仲良かったら色々大変だからな。
で、ここからが本題だ」

「解りやすく説明しなさいよ」


アガリアレプトの性なのか早く答えを知りたい心乃原に睨まれながら獅子河原は話し始める

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