共鳴 本編 | ナノ


何でも屋 (4/5)

「待ちやがれー!!」

「ま、待ちません!!」


うわぁぁぁぁっ!なんで僕追われてんの!!?


『僕の手がかり』を掴むために妖怪街に入ったらいきなりコレだし!!!

確かに僕は尾が九本あるから悪狐に見えるけど!!
善狐の中の善狐、空狐だって事は自分できちんと解ってる。

もしかして悪狐って懸賞金掛かってる!?
だから狙われてんの僕…って



「いてっ!」

考えて走ったらズテンと転んじゃったよ…
早く逃げないt「やっと追いついたぜ…」


ひぃいぃぃぃいっ!!

顔を上げると恐らく化け猫の一種であろう追ってきた男の人

手には太陽の光でキラリと輝く刀。


あぁ…僕の人生これでお仕舞い?


化け猫さんが刀を振り上げる


「死ねぇ!!」


グッバイ、僕の人生…





























「…………………あれ?」

生きてる?

恐る恐る僕は目を開けて上を見ると傘屋で売ってる傘で刀を防いでいる真っ白い男の人


「なっ…」

化け猫さんが驚いた様な声を漏らす

すると真っ白い男の人は刀を防いでいる形から傘に力を入れ刀を宙へ振り上げた。



「何だテメェ!!」

「貴様に名乗る筋合いはない」


化け猫さんが声を荒げるも虚しく真っ白い男の人は無表情と棒読みで応えた

……ある意味酷い人だな


「さて、」

「はい?あ、助けて頂き有難うございます!」


いきなり真っ白い男の人が話しかけてきたから驚いた…でも本当に感謝です



「礼は要らない。俺の知り合いが貴様を呼んでるから助けただけ。」


前言撤回。

上から目線の口調がイラッとするから

でも…


「その貴方の知り合いさんは僕の事を知っているのですか?」

「俺は知らない。貴様を連れてくのみ」



「えっ……………うわぁ!?」


突然、僕の体が浮いた。
いや正確には真っ白い男の人が僕を担いでるんだ。

え、



担いでる…………?






「や、やめてください!!下ろしてください。貴方も僕を狙ってるんですか!?」

「俺は言われた通りに行動しているだけだ」

「何言って…「走るぞ」うわぁぁぁっ!!」


ぐいっと引っ張られる感覚が僕を襲って、真っ白い男の人はもの凄い勢いで駆けた。

後ろを見ると化け猫さんがこっちを見ながら何かを言っている

ごめんなさい、化け猫さん
死にたくないのでちょっと拐われます

……拐われた先で死ぬかもしれないけど






「心乃原」


真っ白い男の人の声で現実に引き戻される。

あんなに勢いをつけて走ったのに止まり方が静かで衝撃も何もこない。
口調とは違って繊細な人なんだ…


「あ、あの降ろしてください!」

「む。すまん」


なんとか僕は転ばない様に着地した


「貴方が最近有名な狐ね?」

「え…?」


とても綺麗に透き通った声に前を向くとそこには声と同じ、とても綺麗な女の人が立っていた。

白い肌が余計に白く見えるほど黒い髪と瞳。まさに漆黒と言った方がいい色
黒と白に挟まれた僕は何とも言えない不思議な感覚になった



「えと貴女は…僕の事を知っているのですか?」

「そうよ、私は心乃原 謎古。貴方をとある人に頼まれて捜しに来たの」

「そうだったのか?」

「えぇ氷月。あ、こっちは法塚 氷月ね」

「……どうも」



「ぼ、僕は灰々 壬里と言います。
一応空狐なのですが…その…」

話すより見せる方が手っ取り早いから、僕は被っていた布を取った


すると二人はちょっと不思議そうな顔をする
………まぁみんなだいたいそうだけどね…


「本当だったのね…」


何が本当だったかは解らないけど心乃原さんは感嘆したように僕を見て氷月さんはほんの少しだけど驚いた様な顔をした。


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