collabo
高校に入学して早数ヵ月
ファンクラブは入学と同時にらしく、教室から出れば黄色い歓声が上がり、若い女教師からは熱い視線が送られてくる

が、そんな俺には誰にも言えない秘密があった
仲間内にも打ち明けてない秘密…それは


俺が童貞だという事


幼い頃に母親によって植え付けられたトラウマを理由に、女を避けてきた結果がこれだ

笑えない
全くもって笑えない

高校にも入ったし、いい機会だから卒業してやろうとか思いつつ、そういう相手がいない

第一探すのが物凄くめんどくせぇ
取り巻きの女は論外
いっそ小十郎に相談して、それ専門の女を用意させるのもありだが…あいつ、泣きそうだしな
自分が不甲斐ないばかりに!
とか言って
それはそれでめんどくせぇし
何より俺のプライドが許さない

あー…どうしたものか


「きゃあっ?!」

そんな俺の思考を遮ったのは、甲高い女の声

何事かと思って振り向けば、つまづいて盛大にプリントをバラまいている俺の担任、名前

なにやってんだあいつ



名前は今年からこの学校に来た
いわゆる新任教師だ

体つきはいいくせに童顔

そんな名前が担任になって仲間内で行われた賭け
もちろん内容は

名前が処女かどうか

ほとんどが処女に賭けるなか、家康と慶次だけが経験ありに賭けやがった
あいつら、意外とギャンブルを楽しむタイプだったんだな…


と、そんな事より今は名前だな

「なにしてんだよ」

生憎今は3時間目の授業真っ只中で、名前を助けようとするやつはいない

ってことで、しゃーなしに俺が助けてやる事にした

「いたた…何って、授業に出てない問題児を探しに来たのよ」
「あんたの手を煩わす困ったやつがいるんだな」
「ほんとよ…まったく」

俺の手を借りながら立ち上がる名前

…どうせ童貞捨てるならこんな、超ど天然の処女にでもするかね…

「で、そのプリントは?」
「他の先生に頼まれちゃって…」
「断れよ」
「私は新任だから雑用は全部引き受けなきゃダメなの」
「なんだその決まり」

なんて軽口を叩きながら歩き出せば、あからさまに顔を歪める名前
足元を見ると、スカートから伸びる白い足には似つかわしくない赤が見えた

「ケガしてるじゃねぇか」
「さっきこけた時ねー…私、保健室寄るから伊達くんは教室帰ってて?」

これは、チャンス到来ってやつか?

「Ah?いいよ、連れてく」

ならありがたく俺の童貞卒業の為の生け贄になってもらうとするか

「…なんか、気持ち悪いぐらい優しいわね」
「失礼だな、あんた」

・・・・・・・・・・・・・

「ほら、足出せ」
「あ、ありがと」

保健室には誰もいなかった
名前曰く今は出張中らしい

俺にとっては好都合だ

名前をベッドに座らせ、俺はその足元に跪き傷口を消毒していく

あー…こんなに女に触れた事ねぇから、変に緊張する…

「ほらよ、終わったぜ」
「ありがとう。意外と器用なのね」
「おい、どういう意味だ」

クスクスと笑う名前に背中を向け、使った道具を片付けていく
あいつには危機感ってのがねぇのか

まぁ、そんな名前を取って食おうとしてる俺もどうかと思うがな…

「あ、伊達くん?これ忘れてるわよ?」

それは、ほんの一瞬の出来事

名前を呼ばれて、振り向けば名前が浮かべるのは
男を知らなさそうな純情な笑み

それに油断して近付いたのが全ての間違い

そのほっそい肩に触れようとしたその時、視界が回転した

「…あ?」

気が付けば視界に入るのは保健室の天井と、妖艶な笑みを浮かべる…名前

待て待て待て待て
なんで俺が押し倒されてるんだよ
逆だろ逆

「伊達くんってさ…女の子と遊んでるように見えるけど…実は童貞でしょ?」
「は?何言ってんだよ」
「私への触れ方が、そんな感じ」
「…それだけかよ」
「それだけでも分かっちゃうのー」

俺の首筋を撫で上げる名前の指にピクリと反応すれば
名前は嬉しそうに口元を歪めると、さらに強弱を付けて撫でてきた

「…っ!」

あの賭け、慶次と家康の勝ち…かよ…っ!

俺に跨がる名前の顔は、まさに女の顔で

「ん、良い反応」

もう、食べちゃいたい


そう言って妖しく笑う名前を見て、不覚にも

体が震えた


(純真無垢な教師の仮面)




   
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