にゃんことお出掛け  


久し振りに政宗と何の予定もなく外に出た。

最近はバイトや大学で忙しくて出かけるのはなかった気がする。
それに、私も政宗も人込みが嫌いだからあまり出掛ける事自体を好まない。
休みの日は家でゆっくりしたいのもあって、外に出るのもせいぜいベランダで日向ぼっこするぐらい。

普段は予定がないと外に出ない

けど、今日は違った。
何を思ったのか政宗が「出かけるぜ」って言い出した。珍しい。
まぁ、特に断る理由もなかったから出掛ける事にしたんだけど…

政宗は何故か理由を教えてくれない
何となくなら何となくって言えば良いのに…
何回聞いてもはぐらかされるだけ

まったく、人の多い日曜日に朝から出かけるなんて…この万年発情期は一体何を考えてるんだか…

「なぁ、政宗。そろそろ教えてくれない?」
「Ah?」

今流行っているらしい恋愛映画を見たあと、適当な店にはいってパスタを食べながら聞いてみた
私が忘れているとでも思ったのか、それとも政宗本人が忘れていたのか
フォークに巻かれたミートスパを食べようとして開かれた口はそのままで、政宗は唖然とした顔で私を見つめる
そのまま数秒間停止して、フォークを皿に戻した後何故か私から顔をそらした
その顔は心なしか少し赤い

「Honeyと、dateでもしようかと思ってよ…」

どこの純情ボーイだお前は

デートもどきならいつも家でしてるのに、いざ外でするとなると恥ずかしがる

「どうした?急に」
「いや…この前Honeyが大学行ってる間によ、暇だったから散歩してたらその…妙にカップルが多くてよ」
「憧れた?」

もごもごと語尾を濁す万年発情期の馬鹿猫
あぁ、何て可愛らしいんだろう

私の微笑みの理由に気付いたのかそっぽを向いてて照れてしまった政宗

一緒に買い物に行く時はいつも手を繋いだり、腕を組んだり
勿論それ以外の事もするけど…
どうやらこの猫は私ともっと普通の"恋人"らしい事をしたかったようだ

だったら素直にそう言えば良かったのに
別に嫌がる理由なんてない

…でも、きっと、政宗が言わなかった理由は私との曖昧な関係
一応"伊達政宗"としての戸籍はあっても政宗は"猫"で私はその"飼い主"
その事がきっと邪魔したんだろう

「政宗、貴方は私の何?彼氏?それともただの愛玩動物?」
「っ!」

明らかに動揺する政宗
そんなに愛玩動物がショックだった?
でも、それは当たり前の反応
私にとって政宗は愛玩動物なんかじゃないのだから

「ねぇ、私は政宗にとって何?」

それは、少し前まではお互い答える事の出来なかった問い

でも、今は違う

「Honeyは俺にとってただ一人の存在だ」
「即答?」

何がそうさせたのかは分からない、でも今ならはっきりと言える

「私がHoneyなら政宗はDarling。私が愛する唯一の人。だから不安になる必要なんてない。私達は恋人同士なんだから」

にっこりと微笑むと政宗は一気に体の力を抜いた

「そう…だよな。わりぃ…こんなくだらねぇ事で悩むとか…俺らしくなかったな」
「まぁかなり可愛かった」
「うっせ」

照れ隠しなのか、すっかり冷めてしまったパスタを食べながら悪態を吐く政宗
それを聞き流しながら私もパスタに手を付ける

何故か、さっきよりも美味しく感じた

「政宗、これからどうする?」
「AH−…そうだな」

二人とも食べ終わったところで携帯を取り出してこの辺にある店を適当に調べてみる

「とりあえず夜の店は予約しといたぜ」
「んー…」

夜も外で食べるなら、長い間時間を潰せる所の方がいいか…

なんて考えながら画面をスライドしていると、いつの間にか横に移動してきた政宗の頭が私の肩に乗った

こんなふうに、外で甘えてくるなんて珍しい…

「Hey、Honey」
「ん?」
「…またしような、date」
「もちろん」

私達は恋人同士なんだから

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