ご利用は計画的に
で、なんだかんだあって校門前

「なっ…!」

もう少しで校門を出て学校脱出…という時に三成が声を上げた。
おいおい、まさか…

「三成よ、足に紐がついておるぞ…」
「くっ…ここまでか…」

がくりと項垂れる三成
…なんか紐が足に巻きついてたら死刑宣告みたいな事になって来たな、空気が

てか、ずっと思ってたんだけど刑部って楽そうだなオイ。
ふよふよ浮いてるだけじゃねーかよ

「三成…くっ、お前の事は決して忘れん!」

来たよB組には縁のないシリアス展開。
基本的に家康中心でそんな空気になるな。

皆さり気なく三成から離れる
巻添え食うのは嫌だからな。
家康・三成・刑部の三人を遠巻きに観察ー
この三人の周りでよくあまり良くない事が起こる
小十郎に見つかったり小十郎に見つかったり小十郎に見つかったり←
刑部が「主に不幸を」とか言ってるからきっとそのせいだってこの前湯木言ってたな。

「家康ぅぅぅぅぅうううううう!!!」

『?!』

…吃驚したぁ、唐突に叫ぶなよ三成
ほら、耳がキーンっていってるじゃないか←

「貴様が生き残るなど…決して許さぬ!!!」


ちょ、コイツ何言ってんのぉぉぉぉおお?!
何お前も道連れにしてやる!的な顔してんの?!
つんでれ?!コレはツンデレだと解釈していいのか?!

逃がすまいと三成は家康の足首をガシリと両手で掴む

「くっ!一生の不覚ぅ!離せ!離すんだ三成!!」

いや、お前はお前で何言ってんの

ジタバタと暴れる二人…何だこれ。

「…醜いな」
「いや、小十郎、お前のせいだろ」

まったく、千歳の言う通りだよ…



ってアレ?…小十郎?

い つ の ま に




――ズザァァァァァァアアアアア!!

「「うおぉぉおおおお!!!」」



あぁ、また二人犠牲者が…
と、思ったら違った三人の間違いだった



「離せ徳川!離すのだぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」



刑部の座布団を家康が掴んでいた。
いや、座布団から降りたら良いだろ…



で、結局



「仲良く三名様ご退場ーー」

何より小十郎の笑顔が怖い

「どう見たらアレが仲良く見えたんだ…小十郎」
「それは大人しく捕まれば教えて差し上げますよ」

『遠慮させていただきます』


言い終わるか終わらないか微妙なところで小十郎に背中を向けて走り出す

そろそろ足限界です…




寮前


「はぁ…もう、限界」
「…げほっげほっ」
[大丈夫?]
「ん、ありがと」
「ほらほら三人共、あと少しだから」

湯木千歳あたしがぜぇぜぇ言ってると小太郎と佐助が背中をさすってくれた。
佐助はともかく、小太郎…あぁ、癒される

「ちょ、桐樺ちゃん今失礼な事考えてたでしょ」
「そういえば蘭丸君といつきちゃんはー?」

話逸らしたって呟きが聞こえたけど無視

「Ah-…アイツ等なら教室出てすぐに保健室に行ったぜ」

マジかなんて自由人
どんだけ濃姫先生が好きなんだよ

とまぁ雑談もそこそこに寮に到着。
扉を潜るとそこは


根の国でした。


「うふふふ…長政様がね授業をサボるのはイケない事だって」

『市ぃぃぃぃいいいいい?!!!!』
「なんか根の国発動してるぅぅぅぅうううう!!」
「「怖すぎるぅぅぅうううううう!!」」

ゆらゆらと左右に揺れながら近づいて来る市。
やっべ、今日で私たちの命終わるかも。

「皆…市に大人しく捕まってね?」

市が言い終わると同時に千歳に向かって伸びて行く黒い手

「っ千歳!」
「うおっ」

反応薄!
…まあ、反応が薄くても黒い手は千歳に迫って来るわけで

「やっべw千歳根の国にレッツゴーやw」
「いやいやいや!レッツゴーする前に逃げようとしましょうよ?!」

「…じゃぁな湯木」
「あぁ…千歳」



「いやいや!猿芝居とかやってる暇ちゃいますけど?!!」

この緊急事態に何やってんのこの人等?!マジ自由人!

「っ風魔殿?!」

――ガシッ!

千歳と湯木が猿芝居を繰り広げていると突然千歳の前に現れた小太郎、そのまま千歳の変わりに黒い手に捕まってしまった。
え、ちょ、小太郎?
グッと親指を立てながら小太郎は黒い闇の中に消えて行った…

『小太郎ぉぉぉぉぉおおおおう!!』

くっ…小太郎、君の事は忘れないよ!
市が根の国に沈んで行った小太郎に気を取られているうちにダッシュで逃げる。

「…ふっ計画通り」
「マジか」




どうやらあの一連の流れは千歳の計画だったようです。…嘘だと思うけど


学園内で唯一安全な場所が寮内の自分達の部屋。
プライベートな空間という事で寮内は兎も角、部屋の中に先生達は入ってこれない。どんな理由があっても、だ。
それで私達は寮を小十郎に追われた時用の避難場所にし、いつ追いかけられてもいいように部屋の鍵は開けっ放しか小太郎に合い鍵を持ってもらっている。
毎日小十郎に追いかけられる事を前提に行動してるんだぜ☆

目の前には扉、私の右手の先にはドアノブ…やっと、やっとここまで来た。
思い返せば長い道程だったな…
ここ数十分の出来事を思い返しながらドアノブを回…

――ガチャ

「…アレ?」
「What's up?」
「…鍵が」
『?』
「鍵が閉まってる…ちゃんと開けてたのに」

『!!?』

私達の間に沈黙が訪れる
部屋に籠っていようと思ってたのに…全てが台無し

「一体誰がカギを…」

佐助が呟き皆が頷く
…管理人さん?いやいや、事情を話してるから大丈夫か…なら、誰が?
…むぅ、分からぬ

「桐樺ちゃん…ちょぉっとヤバいかも…」

珍しく焦った佐助の声
振り向くとみんな私に背を向けて立っていた。
顔、青ざめてますけど…

前には…まあ、予想通りのモノがあると思うけど…この怖がりようはそれだけじゃないな
ひょこりと幸村の背中に隠れながら前を見るとそこには

「…怖っ」

後ろに市と黒い手を従えた小十郎が

「テメェ等が探しているのはこれか?」

――ちゃりん

ニッタァと悪魔のような笑みを浮かべながら手に持っていた鍵を投げて寄越した。
…犯人は小十郎か

「小十郎…テメェ…!!」

政宗がキレてる
そんな政宗を一瞥すると小十郎は懐から何かを取り出した。

「フッ…コレなんだ」
「それは…チョークの粉がいっぱい付いた黒板消し…?右目の旦那、それで一体何を…?」
「こうやって使うのさ…おうりゃぁぁあ!!」
『?!』

――ブンッ

大きく振りかぶって小十郎は黒板消しを投げた。物凄いスピードで政宗に迫るそれ、そして

「くっ!!」

ばたりと倒れる政宗
…ってぇぇぇぇぇぇええ?!
気絶した?!政宗気絶しちゃったよ?!しかもチョークの粉のせいで真っ白になって倒れてるぅ?!

「流石片倉殿…たかが黒板消しでこれほどの破壊力とは…」
「はっ!たかが黒板消し、されど黒板消し…さ」
「一体何の名言?!」

思わず千歳が突っ込んでしまう様な名言が誕生した。

「まだまだ…いっぱいあるぜ…」

すっと再び懐から黒板消しを取り出す小十郎…目が笑ってない

「っ…ろ、六爪流?!」

湯木がゆっくりと後退して行く…そして

「いくぜぇ!!」

――ブンッ

『いやぁぁぁぁぁぁぁあああああ?!!!!』

視界が白く染まった


「ふっ…時間はたーぷりあるぜ」
「長政様…褒めてくれるかな…?」



こうして逃走劇は幕を閉じた







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