数学を真面目に受けた事なんて…無いに等しい
問題児と言われている私達でも、チャイム着席はちゃんとする。
ただ問題なのは授業中。
授業が真面目に進行するのは…小十郎の授業ぐらい。

「うぅ…腰が」

教室に入って来ての第一声がそれかよ…。大丈夫か氏政先生…。
そんな先生を気にしてか,はらはらと先生を見守る小太郎を可愛いと思うのはきっと私だけじゃないはずだ。

「そんなに腰痛いんだったら教室来んなし」


そしてそして、湯木が氏政先生にツッコむ。
いや、皆先生の事好きなんだよ?好きな子ほど苛めたくなるっていうじゃん?
何処の小学生だよって感じだけどこういうのは基本授業中だけ。
休み時間とかに会ったら皆普通に先生に話しかけるからな…

「濃姫先生の所に行けよこのじじ先!」


おぉ!千歳も便乗してきた!
この二人が揃うと怖いよな…何されるか分からんし
基本数学の時の先生弄りはこの二人中心で始まるから
氏政先生廊下で二人に会った時どう反応したらいいか分かんないから声裏返ってるし。
まぁそれが面白いんだけどな、可愛いし。

さて、どれだけ現実逃避してみても先生弄りは続くわけで
私が参加する瞬間も近づいてくるわけでして…

という訳で

『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!』

はい、皆で帰れコールキターーーー!!

ただし先生が涙目になったら止めますよ。
やばいやばいという小太郎のジェスチャー(かなり可愛かった)を見て、皆口を閉じる。

「ぬ…ぬぬぬ…き、お主等ぁ!天下の北条家に逆らうとどうなるか知っての行動かぁ!」
「声が震えてるぜ、じーさん」

政宗!ナイスツッコミ!!

「ぬぉぉぉぉぉおおおう!!濃姫先生ぇぇぇぇぇぇぇええええええええ!!」

――ガラガラピシャン!

政宗の一言で止めを刺された氏政先生は目を腕で押えながら退場
腰、痛かったんじゃねぇのかよ…

まぁとりあえず先生は居なくなったし…

『イェェェェエエエエエエイ!!!』
「な、何をしている貴様等ぁ!座れ!黙るのだぁぁあ!!」


叫ぶオクラを無視して皆でハイタッチ!
イエイ!自習!
先生には悪いけど授業とかダルいだけだしな!

しかし、良い事がそう長く続かないのが世の道理
そう…恐怖は直ぐそこに

いや、言ってみたいだけなんだけどね。
せめてこの時間は楽しく過ごした…

「おいテメェ等うるせぇぞ!!」
『Σギャァァァァアアア!!小十郎が来たぁぁぁぁああああ!!』

なんて言ってたら小十郎登場!
やばいやばい!叫び過ぎた?!叫び過ぎたのか?!

命の危険察知!
こんなに騒いでるのに爆睡してる花鈴とメール打ってる孫市姐さん、そしてオクラ以外全員
小十郎のいない扉の方からダッシュで逃げる!

『逃げろぉぉぉぉぉおおおおう!!』
「な?!待て!テメェ等ぁぁぁぁぁあああああ!!」

そして、大逃走劇が幕を開けた…









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