very crazy…about you 

目が覚めたら隣に名前がいなかった
隣にあったはずの温もりも消えているからかなり前に起きたらしい

俺を残して、あいつはどこにいった?
ダルイ体を起してリビングに向かう

…久し振りだからって昨日ヤり過ぎたか

なんて思いながらゆっくりと扉を開ければ

「あ、おはよう政宗」

スーツを着て、メイクをしている名前の姿が

「…何やってんだよ」
「んー?会社から呼び出しがきちゃって…」
「Ah?今日は休みだろ?」
「ごめん、どうしてもって頼まれて…っ?!」

ふざけるな

そう思いながら半ば強引に名前の口を塞ぐ

もがき、逃げようとする名前を抑え込めば脱力し、体を預けてくる。
それがあまりにも可愛くて抱きしめる力を緩めたらあっさりと離れていく名前

「…ふざけんなよ」
「いたって真面目!頑張って早く終わらせるから待ってて?ね?」

俺の彼女…名前はバリバリの会社員
高校生の俺とは生活リズムも違うから俺が無理言って半同棲的な事になって早数ヶ月

久し振りに二人でゆっくりできると思った日に限って会社から呼び出しがきやがる

新手の嫌がらせかと、そんなしょーもない事を考えた時期もあったが名前は社会人だから…
と、自分に言い聞かせて我慢してきたが…こうも悉く邪魔されちゃさすがに我慢の限界だ

あまり気の短くない方の俺がここまで我慢したのを誰か褒めてくれ

「行かせねぇ」
「ちょっと、政宗」
「会社なんか休んで俺といろ」
「あのね、そういう訳にはいかないの…」
「餓鬼扱いすんじゃねぇよ」
「してないわよ!って、ちょっと何処連れて行くの?」
「うるせぇ」

ギャーギャー騒ぐ名前を抱きあげればさらに抵抗しやがる
鳩尾に足が入った時は思わず落としそうになったがさらに厄介な事になりそうだったから踏ん張った…あれはかなり痛ぇ…

「ちょっ…きゃぁ?!」

名前をベッドに放り投げて寝室の鍵を閉める

絶対何処にも行かせねぇ


上司からの呼び出しだか何だか知らねぇけど俺等の時間邪魔するとかマジムカつく
それに、俺より仕事優先な名前も…


馬乗りになって両手を拘束すれば嫌々と首を振る名前
いい加減、それが俺を煽ってるって事に気付けよ…


「政宗、ほんと止めて」
「Ah?そんなに俺より仕事してぇの?」
「ちがっ…」

名前が優し過ぎるのは知ってる。俺はコイツのそういうところが好きだ…
けど、どうしてもって頼まれたからって久し振りの二人の時間を潰すのはさすがに許せねぇ
溢れ出てくるどす黒い感情に身を任せて言葉を発す

「ちょっと…政宗!話聞いて!」
「言い訳なんか聞きたくねぇよ」
「そんなんじゃないっ!」
「何?それとも男でもできたか?」
「だから…っ」
「仕事とか言ってソイツと遊びにでも行くんだろ?純情そうな顔してやることえげつねぇな」
「…まさ!!」

ぽろぽろと流れていく名前の涙を見て正気に戻った

あぁ、俺は一体何してんだ

こんな事言いたかった訳じゃない
泣かしたかった訳じゃない
名前が俺意外の男を作る気がない事なんて分かってる
そんな事出来る様な、器用な女じゃない事ぐれぇ分かってる

何もかも分かってたのに…

「悪ぃ…言い過ぎた…」

ひくひくとしゃくり上げる名前抱きしめて背中を撫でてやる


歳の差なんて煩わしいだけだ
何もかもが思い通りにいかない

後一年もこういった生活を送らないといけねぇだなんて…考えただけでも反吐が出る

…どうして俺等は同じ年に生まれなかったんだろうな

「…あのね、政宗」
「ん?」

少し不安げに見上げてきた名前の頭を出来るだけ優しく撫でてやる
目元に残った涙を舐め取ってやれば恥ずかしそうに身をよじった
その動作一つ一つが可愛くて仕方がない

「今やってる仕事が上手い事いけば有休が取れるの」
「…Ah?」
「上司がね、最近頑張ってくれてるから―って…」
「……」
「びっくり、させようかと思ってたんだけど…ごめんね」
「…」
「ちゃんと、言えば良かったね…」
「…マジかよ」

つまり
最近仕事で忙しかったのは、全部俺との時間を作る為だった…と、

shit!
…なんか、俺すげー餓鬼みたいな事してた気がする…

「Sorry…」
「んーん…いいの。政宗がちゃんと私に気持ちをぶつけて来てくれて嬉しかった」
「Ah-n?」
「だって政宗、私が仕事に行く時すごく物言いたげな顔でこっち見てくるんだもん」
「Oh…マジかよ…」

完全無意識だぜ、それ…

「可愛かったけど、ちょっと不安だったの」
「可愛くなんてねーよ…」
「私からしたら可愛い―の!だから、政宗が思ってる事全部言ってくれて嬉しかった」

ふにゃり、と笑う
俺の愛しい人
その台詞も恥ずかしがる仕草も、何もかもが反則だ…

「…会社、送って行ってやるよ」
「へ?!」
「Dashで終わらせて早く俺との時間作りやがれ!!」
「はいはーい」

嬉しそうに微笑んでぱたぱたと走ってリビングに向かう名前を見送った後
ぼふっと枕に顔を埋める

あー…やばい、色々と我慢できねぇ…

「政宗ー準備出来たよー」
「おー。着替えるから靴はいて待っとけ」

適当な服を着てバイクの鍵と携帯と財布をポケットに突っ込む
…帰ったら即寝るか

欠伸を噛み殺しながら玄関に行くと犬みてーに大人しく待ってる名前
本当に犬みてぇ…

「何か嬉しいな」
「Why?」
「だって、政宗が会社まで送ってくれるの初めてでしょ?」
「そうだったか?」
「よくて駅までじゃない」
「Ah-…まぁそうだな」
「でしょー?」

餓鬼みたいに笑う名前の頭を撫でてやりながら扉を開ける

名前を会社まで2ケツして送ってやるのも、案外良いかも知れねぇな

「じゃあ、頑張って仕事終わらせて来るね?」
「当たり前だろ?俺がどんだけ我慢してると思ってんだ」
「あははー可愛い」
「うるせぇっ!」

こうやって、俺を餓鬼扱い出来るのはきっとこの先名前だけ

「俺との時間を作る為に頑張ってこい…You see?」

名前さえいればそれだけで十分だ
他には何もいらない

「I see!」

だから、頼むから俺から離れないでくれ

「政宗と2ケツー」
「餓鬼かアンタは」
「政宗よりましー」
「ふざけんな」

…なんて、言わなくてもこの馬鹿は絶対は慣れないな

「っこのfool girl!バイクの上で跳ねんな!」
「girlなんて褒めても何も出ないわよー」
「褒めてねぇよ」
「あら酷い」
「うっぜぇ」
「あははー」

煩わしい程の歳の差も、コイツならそうは思えなくなってきた
なんせ俺は

どうしようもないぐらいアンタに溺れてるから




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やっとできた…!
紗波さんとの相互記念です!
遅くなってすみません…(/_;)

年下政宗と言う事で…かなり子供っぽくなってしまいましたw

  
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