wild strawberry 

3年前に親父が亡くなった。親父が亡くなってその数日後、親父の遺言書が公開された。
そこには親父が亡くなった後は俺が家督を継ぐように。
それから…親父の親友の娘と結婚するように。

と、記載されていた。
アイツと俺との結婚は親父の願い…。そう思って結婚した。
だが、伊達のためとは言えもう限界だった。

「ちょっと!お茶が冷めていたわよ。それに…私の部屋がとても寒いわ。」
食卓で夕食を取っているとアイツは近くにいたメイドに文句を言い始めた。

決して茶は冷めていないし、アイツの部屋も暖房が入っている。

横柄な態度、使用人への蔑視、異常な金遣いの荒さ…アイツがこの家に嫁いできてから2年ずっと。

結婚当初は親が決めた婚約に反発してそんな態度を取っているのだろうと俺も小十郎も周りの使用人達も気を使って接していたのだが、どうやら元から性格らしかった。

「止めろよ。メイドは何もミスしてねぇだろ。」
「政宗様!私よりメイドを信じるというの?信じられない。…」
そういうと席を立ち自分の部屋へ走って行った。

いつもの事だ。こんな生活が毎日繰り返されている。

**********************

「政宗。疲れてる?」
名前は俺の顔覗き込んだ。

「なんでもねぇよ。」
自分の座っているソファーに名前招き、隣に座らせる。

名前は遺言状が公開される前日まで付き合っていた彼女。
本当だったら俺は、こいつと結婚するつもりでいた。

別れてから2年。ずっと連絡を取っていなかったが、数ヶ月前に再会したのだ。
再会してからというものこうして時々、名前の部屋を訪ねている。

「名前。ずっとこうしていたいな。」
俺の方に名前の体を引き寄せる。
「ダメだよ。奥さん待ってるんでしょ?」
名前は、俺から体を離した。

アイツと不仲なのは、名前に伝えてあるが一応既婚者である俺とは一定の距離を取っている。

「なぁ。俺のことまだ愛してるか?」
「…言えないよ。愛してるだなんて…ねぇ、帰ろう?愚痴ならまたいっぱい聞いてあげるから」
ソファから立ち上がろうとする名前の手をつかむ。

「俺は、この2年間。お前の事を忘れた事はねぇよ。…愛してる。」

名前を抱き寄せてkissをする。

「政宗。」
「なぁ、あの頃に戻ろうぜ。」
そういうと名前を押し倒した。

最初は嫌々と首を振っていたが名前だったが、服を脱がしながら体中を愛撫していくと声が次第に艶を帯びてきて、自ら俺の後ろに腕を回して息もできないくらいのkissをしてきた。そして、まっすぐに俺を見つめた。

「いいの?もう、戻れなくなるよ。」
「伊達も大事だ。だけど、お前も俺にとって大切だった。もう、あきらめねぇよ。
伊達だけじゃなくてお前も守って見せる。」

俺も服を脱ぎ捨て再び名前と抱き合う。
久々の名前の体温はとても心地よくて、噛みしめるように抱いた。
そして、名前の中に己の欲のかたまりを進め最奥に精を吐き出した。

**********************

数週間後。
思いもよらぬ事で名前から呼び出される。

「政宗。赤ちゃん出来たみたい。」
そう告げられたのだ。信じられなかったが、とても嬉しくて…
「二人で大切に育てような。」
と抱き合いながら互いに喜びを噛みしめた。


俺はその日を境に離婚に向けての準備をはじめた。
最初は離婚はしないという言っていたアイツも、多額慰謝料を俺が払うと聞くと渋々応じた。

そして、名前を家に迎え入れた日に庭に二人でワイルドストロベリーを植えた。

ワイルドストロベリーは幸運や愛を実らせるという言い伝えがあるらしい。
これから俺と名前、名前に宿っている小さな命と今度こそ愛を育んでいこうと思う。










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紗波さんから頂きました!!
5000countおめでとうございます!!




 
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