だって


喉が痛い、声が出ない、頭がふらふらする。
これが風邪だと気付くのにそう時間はかからなかった。
季節の変わり目だからか…咳が止まらない。

奥州にもやっと春がやって来た。
雪が融け、川の水が増えた。
民達は農作業を再開する。

…そして、戦も始まる。

伊達の武将として政宗の役に立たないといけないのに…
こんな時に風邪だなんて…。

本当役立たず。

「Hey莉兎…体調はどうだ?」
「最悪よ」

体調も、気分も何もかも

「…出陣はいつになったの?」
「…明日だ」
「そ、」

北で一揆が起きたからその鎮圧に向かう事になったのは良いけど、北の方はまだ雪が積もっているらしい
今回は少し苦戦しそうね

「…まさかアンタそんな状態で戦に出るとか言うんじゃねぇだろうな?」
「あら?そのつもりだったけど?」
「許可、できねぇな」
「…何故?足手まといになんてならないわ」
「それでも…!!」

政宗は私の手を取るとそこに自分の額をくっ付け、ふるふる震えだした。

…ねぇ、怖いの?私が政宗の前から消えてしまうかもしれないから?
だとしたら貴方は大馬鹿者ね。約束したでしょう?
昔、私も政宗も小さかった頃…私は死なないと…ずっと政宗と一緒に生きていくって。

「政宗…明日までに頑張って体調良くするから…だから、連れて行ってよ。私は…貴方の傍でしか生きられないの」

しぶしぶ頷いた政宗の頭を抱きしめて私は眠りにつく





明日、彼のために戦えるように…





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