Love You


姫さんは昔から独りだった。
真田昌幸の隠し子として生まれ、山奥にあるこの屋敷でずっと独りで暮らしてきた。
姫さんの母親は正室に殺された…。
旦那は彼女の事を知らない。
自分に妹が居る事すら知らされていない。
隠し通されてきた存在…それを知っているのは大将と俺様だけ。
俺様はそんな彼女の優しいお兄さん…だった…昨日までは…

「こんにちは、姫さん」
「あ、いらっしゃい佐助」

大将に…姫さんに縁談がきていると…聞かされた。
今日、姫さんに会わせるから連れて来いと…

それを聞いた瞬間俺様の中で何かが崩れた。

それが大将に対する忠誠心なのか、優しいお兄さんの仮面なのか、忍びの俺様なのか…よく、分からない

ただ、一つだけ確かな事は…姫さん…莉兎を誰にも渡したくないという"猿飛佐助"の感情が存在している事

「今日はどうしたの?」
「んー?大将が…さあ…姫さんに縁談が来てるから連れてこいーって」
「縁…談?私に」
「そ」

渡したくない渡したくない渡したくない
醜い独占欲

「ねぇ…莉兎」
「…佐助?」

だから…さ

「もし、俺様が莉兎をここから連れ出して俺様のモノにしたいって言ったら…どうする?」
「…喜んで」

この、莉兎の笑顔は俺様だけのモノ…





数日後…


「えぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!嘘?!姫さんの縁談嘘?!」
「ちょ…佐助…落ち着いて…」
「佐助が莉兎になかなか思いを伝えんからのぉ…もどかしゅうてもどかしゅうて…」
「それでもやっていい事と駄目な事があるでしょう?!」
「…佐助ぇ!!何を騒いでおる!!」
「あ、兄上」
「兄上ぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええ???!!」
「旦那!!五月蠅い!!」


それから…莉兎姫は信玄公の勧めで武田の屋敷で佐助と暮らすようになり


「佐助ぇぇぇえええ!!某の妹は誰にもやらぬぞぉぉぉぉぉぉおおおお!!」


幸村はシスコンに目覚めたとか…




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