君限定


『モナカ食べたい』
「はぁ?」


それは突然だった。





彼女である莉兎の家に行く途中いきなり彼女から電話がかかって来ての…これだ。

「…おい莉兎、今何月だ?」
『んー…12月?』
「腹壊すぞ」
『大丈夫、政宗が居るから』
「…いやいや、一体何が大丈夫なんだよ」

会話が噛み合わねぇ。

中々モナカを買いに行こうとしない俺に嫌気がさしたのか莉兎はモナカを連呼しだした。

『モナカモナカモナカモナカモナカモナカ食ーべーたーいー』
「五月蠅ぇよ!!」

携帯に向かって叫ぶ俺は傍から見たらおかしい奴なんだろうな…周囲の目が痛いぜ…

『ならモナカ』
「もう訳分かんねぇよ。…で、何でモナカなんだ?」
『急に食べたくなったから』
「だろうな」

莉兎には月に一度急に何かを飲み食いしたくなる時がある。
しかも今その場には無い物だ。
この前俺の家にいた時、急に「やっべ、今とてつもなくコーラ飲みたい。口の中がコーラだ」とか訳の分かんねぇを事を言い出した事があった。
その日に限って冷蔵庫のコーラを切らしていたからコイツはわざといちいち買いに行かねぇといけねぇヤツを言ってるんじゃねぇかと一瞬疑っちまった。
…まぁ結局成実に買いに走らしたんだが。

そして今、目の前にコンビニが…
マジでアイツ見てんじゃねぇの、俺の事。てか俺の周り。

「…ったくしゃぁねぇな…」
『もう政宗大好き!!愛してる!!』
「代償はきっちりと頂くからな」
『おうよ!』

この馬鹿は意味分かってんのか…?

「で、何がいいんだ?」
『モナカならなんでも』
「…殺すぞてめぇ」
『きゃー怖いー』

超棒読み…
俺は携帯を片手にコンビの中に入り、アイスコーナーへと歩いて行く。

なんだかんだ言って俺も甘ぇな…

「俺○モナカ?」
『やだソレでかい』
「じゃあ…抹茶?」
『チョコがいいチョコじゃなきゃ嫌』
「…ジャ○ボモナカ?」
『ソレ最高』
「最初からそう言えや」

面倒臭い事をしやがる。

携帯越しに聞こえる莉兎の笑い声…
あーなんかどっと疲れたぜ

家に着いたら苛めてやろう、モナカ買いに行かされた恨みだ

…そう思ってたのに
通話を終わろうとボタンを押そうとした時聞こえた莉兎の声…
きっと莉兎も俺に聞かせる為に言ったじぇねぇだろう一言



『…だって、政宗最近全然かまってくれなかったし…』





きっと俺はジャン○モナカを買った後、ダッシュで莉兎の家に行くんだろうな…
ご機嫌斜めなprincessを思う存分かまってやる為に



…ホント、俺も甘ぇな




勿論莉兎限定で





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