酷く鋭い風が頬を掠めていく。思わずぶるりと身を震わせると後ろから強く抱き寄せられた。触れる髪や鼻先の冷たさなど感じないほど脳が蕩けるような甘い声に身体が熱を持ち始めた。ついさっきまでベッドで散々戯れていたので、享楽の余韻はすぐに呼び覚まされる。

「寒いか?」
「左馬刻さんが暖かいから、大丈夫です」

互いに下着だけを身につけて何枚もの毛布にくるまりながらベランダで初日の出を待つ。眼前に広がる森と海。左馬刻さんの家からは初日の出が見えないからとわざわざ連れてきてくれた。組の忘年会を早々に切り上げて。白い肌をお酒で赤く染めて。年越しを2人で迎えられたらいいなとは思っていたけれど、口にはしなかった。気付かれるような素振りも見せた覚えはない。だから、左馬刻さんが何を思っているのかは分からないけれど、こうして連れてきてくれた。それだけで飛び上がるほど嬉しい。年は明けたばかりだけど、もう何も要らないとさえも思ってしまう。
身体中をいやらしく這う骨ばった細い手を絡め取れば、ならばと長い脚が絡みついてくる。擦り寄せた頬に掠める程度のキスを落とせば激しく唇を奪われた。互いの体温が溶け合ってじんわりと温まっていく感覚が酷く心地良い。

「左馬刻さん、去年は私を拾ってくれてありがとうございました。私、左馬刻さんと出会えて本当に幸せです。だからどうか、今年も私を離さないでくださいね?」
「……おう。離してやる気なんざさらさらねぇから、覚悟してろよ?」

どうか今年も左馬刻さんの傍に居られますように。鋭く研ぎ澄まされた空気を暖めるように昇りゆく太陽に願いながら与えられる快楽に身を任せた。




*← →#

TOP - BACK///




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -