花が散る様を眺めるのが好きだ。花の種類によってそれは様々で、花弁がはらはらと散っていくもの、首を擡げるもの、人生の締め括りを見せ付けられているようだ。その移り色の変わりさえ1つの物語のようで見ていて飽きない。

「ただいま帰りましたよ」

花は例えば花壇に、例えば道端に咲いているものは自然の中で雨風その他諸々の力で生かされている。しかしこの花瓶に生けられた一輪の花はどうだ、俺の存在なしでは明日には枯れてしまうかもしれない。

「おかえりなさい」

ふわりとその芳しい香りを俺に向けて放つ花はどのように散っていくのだろうか。

「ケーキ、この前気になると言っていた店で買ってきましたよ」
「わあ、ありがとうございます」
「昨日、小生に作ってくれたものには遠く及ばないでしょうがね」
「ふふ、来年は幻太郎さんの手作り、楽しみにしてますね」
「……お手柔らかに頼みます」

この花が散る時は、俺の腕の中で、共に。




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