Night Blindness
05



楓と疾風は部屋の隅に置かれたホワイトボードの前に移動し何やら相談をし始めた。…時折聞こえてくる二人の笑い声がやけに怖い。
四人は顔をひきつらせた。

「何話してるのアレ…?」
「何か怖ぇ何話してるのか分からねぇ分余計怖ぇ…」
「…二人で相談しながら決めるからな…よくある事だ」

たまにとんでもないあだ名を思い付くからな…と、琉那は溜め息混じりに言う。
…とんでもないあだ名とは一体どんなあだ名なんだ…

が、それ以上に気になるのは琉那が自分から政宗達に話しかけた事だ。しかもあの無機質な声ではなく、ちゃんと感情の籠った声で…

「…どうした?」
「いや…まさか琉那ちゃんが話してくれるとは思わなかったというか…」
「琉那ちゃんは基本無口だもんね?話しても無機質な声だったりするし」

時間の有効活用で雅弥はこの間に生徒会の仕事を始める。パソコンに何やら打ち込み、時折琉那に確認をとっている。
こういった地味な仕事は雅弥に任せっきりの様だ。

「癖…だな、無機質な声は…気を付けてはいるんだが」

何処か遠くを見ながら琉那は言う。…その表情はどこか儚く、悲しげだ。

元親が口を開きかけた時、楓と疾風が戻ってきた。
どうやら四人のあだ名が決まったようだ。

「じゃ、発表するよー!」

部屋の隅でくるくる回っていた季羅が返ってくると、四人のあだ名の発表が始まる。
季羅の顔色が悪いが自業自得という事で、誰もそれには触れない。

「まず、幸村は"ゆっきー"か"幸"、佐助は"さっちゃん"か"さっけ"」
「政宗が"まーくん"か"政"元親は"チカちゃん"か"チカ"ね!」

生徒会恒例のあだ名付け、気に入らない者も数名いるようで…というか殆どがあまり気に入ってないようだ。

「Oh…まーくん…餓鬼かよ」
「ねぇ、さっけって何?さっけって?…鮭みたいじゃん」
「チカちゃん…チカちゃん…」

彼等の背後から何か黒い物が見えるが無視だ。無視。

「…さて。大体終わったか…雅弥、他にやる事はあったか?」
「うーん…何もなかったよー」
「そうか…



じゃあ解散」


それだけ言うと琉那は楓の足の上に倒れ込み、昼寝を始めた。
雅弥は場所を移動し、作業の続行。

「じゃ、また後でねー!」

季羅(とうさ子)と疾風は教室から出て行き

「次の集合は寮だからね〜」

楓は琉那の頭を撫でてやりながら何処からか取り出した漫画を読み始めた…

…なんて自由な奴等だ
残された四人はただ見つめる事しか出来ない…



「って…えぇぇぇぇええええ!!?」


佐助の声は第4校舎全体に響き渡ったという…







------------------
邂逅というか出逢い編は終了です。この後の話は閑話に続きまた別の編
最初、転校生は慶次も含めて5人だったんですけど、人数が多いので慶次を減らしました←
別の形で出そうかと思っています。







back
- ナノ -