Night Blindness
02



先程とは違う、口を開くことさえ許されない…そんな沈黙。
つう、と四人の背に冷や汗が流れた。

しかし、琉那は彼等を尻目に涼しい顔でお茶をすする。
そんな彼女の態度が彼等を更に不安にさせた。



―――違う
誰かがそう呟いた。
自分が知っている本部の生徒会長は、月に一度開かれる総会で会う生徒会長は彼女ではない、と。

自分達の知っている生徒会長は―――

―ガラガラ
その時、この沈黙を打破するかの様に扉が開いた。

「ごっめーん!遅れた」
「遅い」

禮乃 雅弥(ライノ アヤ)"ジュミニ"の元メンバーで琉那の右腕的存在であり、そして―

「ちょ…雅弥ちゃん!これって一体…」
「お、ヤッホー佐助!皆も久しぶりー」

四人がつい先程まで生徒会長だと思っていた人物だ。

ブンブンと雅弥は四人に手を振り

「琉那ちゃん遅れてすいませんでした」

土下座でもしそうな勢いで琉那に頭を下げる。

(…………かける言葉も見付からないよ、俺様)

四人からの冷たい視線を無視して雅弥は頭を下げ続ける。
よしよしと琉那が雅弥の頭を撫でてやれば彼女は嬉しそうに頭を上げた。
二人の間ではアレで雅弥の遅刻が許されたようだ。

「レニちゃん珍しいね〜」

雅弥の隣に腰掛けた楓は笑顔を絶さず言う。

「…レニとは一体?」
「あ、幸村!レニは私のあだ名だよ。んー先生に捕まっちゃってねー」
「それは残念だったねぇ〜」
「いや…あの俺様の話…」
「あ、とせとガジョはもうちょっと遅れるってー楓ちゃんお茶ちょーだい」
「俺様の話…」
「じゃぁ、ちょっと待ってね〜」
「あ、運ぶの手伝うよー」

がっくりと項垂れる佐助。
そんな彼を慰めることなく雅弥は楓の元へと行くためにフラりと立ち上がり

「あでっ」

転けた

「レニちゃーん、そこ何もないよ〜」
(馬鹿だコイツ)

その場に居た雅弥以外の心が初めて一つになった瞬間だった。


―数分後生徒会室―

雅弥のお陰なのか先程までの重苦しい空気が一掃され、彼女を中心に盛り上がっていた。
琉那は黙ったままだが、それでも話が絶える事はない。

―ガラガラ

そしてまた、扉が開かれ、男が二人入って来た。

「遅い!!!!」
「いや、お前が言うなよ」

ぱしっと琉那が雅弥の頭を叩く。
先程までの事が嘘のように優しく微笑む"生徒会長"その変貌ぶりに四人は首を傾げた。
まぁ、答えが出る訳でもないのだが。

「はいっお茶」
「あ、楓ありがとー」

入って来た二人が席に着くと同時に楓がお茶を渡す。
お茶を出すタイミングが今日も完璧だ。
ずずっと二人が茶を啜る。そしてそれを見たあと琉那がまたあの無機質な声を発した―。


「改めて。ようこそ稲葉学園大阪支部生徒会へ」






―これが彼等の出会い…全ての始まり―






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四人中二人が判明しましたかね;;
これでやっと全員揃いました;;長い!←








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