Night Blindness
00



稲葉学園…そこは連邦軍が作り出した最新生物兵器"プトロン"対策の為に日本の大統領が建てた学校。
そして、"ジュミニ"の元メンバーが二年間の休戦の間、束の間の休息を過ごすための場でもあった――…


―稲葉学園大阪支部高等学校 第4校舎屋上―


ここにかつて英雄と呼ばれた一人の女が居た―…。

貯水タンクの影に隠れ、仰向けに寝そべっている彼女はとある資料を読んでいた。
そこに書かれた文字の羅列に目を通していく。
すると、最後の一文を読み終わるのと同時に一陣の風が吹いた。
大して強くもない風によって彼女の手にあった数枚の紙は拐われ、空中を漂う。

「リーダーを含む五人だけが学園に残った…か、」

口元をつり上げ、そう小さく呟やいた。
そして、何を思ったのか右の太股に巻いたベルトから銃を引き抜き、未だ空中をさ迷い続ける紙に銃口を向け…



―パァァアン!!



引き金を引いた。

「"ジュミニ"の力を恐れた政府はメンバーをバラバラにしたってちゃんと書かなきゃ…ウ
ルたん」

彼女の呟きは誰の耳にも届くことはなく、無限に広がる青い空に吸い込まれ…


消えた――。







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