しょうもない




※アニメ7話ネタ
いちゃいちゃしてるだけ











人は時として予想の範疇をはるかに超えた行動をとる。だからこそ人間とは飽くなき存在であり、どこぞの胡散臭い優男が愛を注ぎたくなるのもなんとなく理解出来てしまったりなんかもするのだが、この男の場合それがあまりに唐突すぎて愛しさを感じている隙もないのだ。




「…しず、」

「あ。馬鹿、動くな。書けねぇだろうが。」

「なにしてるの、」




適度な倦怠感とともに静かに始まるはずの休日の朝。太腿に感じる重さに目を覚ますと視界に映る明るい金。

真剣な眼差しで私のパジャマを捲り、腹部を見つめる静雄は何故かその右手に油性ペンを握っていた。



「よし、出来た。」



朝っぱらから乙女の腹にラクガキとはどういう了見だ。満足そうに微笑む顔は子供みたいでちょっとかわいい…わけあるか!なんとか上体をおこして己の腹部を覗き込むと、胸からへそにかけて力強い字で書いてある。「おれのくうな。しずお。」



「(ひらがな…)」


「最近臨也の野郎がうろついてるからな。いざという時の為だ。」

「…あたし、プリンじゃないんだけど。」




書きおえてもなお私の上から退こうとしない静雄は、自分で口にした宿敵の名前に青筋を立てている。阿呆か。そもそも、仮にその「いざという時」がきたとして、あの臨也にこんな子供騙しが効果を示すとは思えない。…ひらがなだし。



「あのさー、しず。」

「………」

「こんなことしなくたって、誰もあたしなんか取って食わないと思うんだけど。」



知らぬ間に腹を自由帳にされた怒りも少なからずあって、軽く睨み上げながら諭す。すると、数秒静止した後、静雄がぷるぷる震えだした。え、あたしなんか怒らせるようなこと言った?



「…そういう無防備なとこにつけこんでくる輩がいるから心配してんだよ。だいたいお前、そうやって腹出したりしてると、その…、すげぇエロいんだかんな。」

「(お前がやったんだろうが。)」

「すぐ睨みやがるし…それ結構グッとくるんだぞ。いちいち煽るようなことしやがって、そんなんじゃ…、あ。」

「?」

「やべ、勃った。」

勝手に説教たれて勝手に欲情した愛すべき阿呆は、依然として露出されている腹にねっとりと舌を這わせる。おーい静雄くん、せっかく名前書いたのに消えちゃうよ。あ、これ油性だっけ。



「あーはいはい、分かったから。ちょっと腹貸しなさい静雄くん。その筋肉とか汗の匂いとか、すげぇエロいからさあ、万が一君が臨也に食われる前に名前書いてあげる。」

「二倍犯す。」







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