五七五磯崎


天馬の前方から、吊り目の黒い髪が歩いてくる。
その相手を見て反射的に天馬の顔はこわばった。
他人を嫌うことが滅多にない天馬でも、その人物にはあまりよい印象をもっていなかった。
それもそのはず、近づいて来たのは、かつて徹底的に雷門中をいためつけようとした
万能坂中の一年生キャプテン、磯崎研磨だったからである。
「よう松風、お前が雷門の新キャプテンとは驚いたぜ」
「う、うん」

キャプテン、と言われて天馬は複雑な気持ちになった。
ポケットに両手を入れてすぐ前に立っている磯崎と、自分をつい比べてしまう。
雷門と万能坂、チームカラーの違いはあれど、磯崎からは一チームのボス然とした風格が感じられる。
それにひきかえ自分はチームメイトに励まされ、先輩たちに頼りながらなんとかやっている。
同い年だというのにこの差は何なのか、天馬には見当もつかなかった。
磯崎に訊けばわかるかもしれない。
天馬は淡い期待を胸に、磯崎の目を見て質問を切り出した。
「あのさ磯崎、俺に教えてほしい。お前のキャプテンらしさの秘訣を知りたいんだ」

「はーん。いいぜ」
天馬より数センチ高い目線から見下ろしながら、磯崎は手を天馬の制服のベルトに伸ばした。
ズボンとパンツを公衆の面前で一息に下ろされ、天馬は一瞬の出来事に声も出せなかった。
磯崎は天馬の裸の下半身をじっと見つめている。
チンチンを見たりしてどうするつもりなのだろう。天馬は磯崎に恐怖を感じた。
茶色いチン毛も、白ブリーフも、竿も玉袋もすべて磯崎に見られている。
数秒が長い。天馬は目を泳がせたり、磯崎の顔に目をやったりした。
磯崎は天馬のチンチンを見ながら、腕を組んで理解した風にうなずいた。
「何かわかったのか?」
磯崎は口の端を吊り上げ、にやりと笑みをうかべた。
そして巻き舌気味に言った。

「てめえには ギャランドゥが 足りねえな」



トリートメント光良


「あっははは、おまえ恥ずかしいパンツはいてるなぁ。チンコ丸見えじゃねえか」
露骨な言葉に天馬は真っ赤になった。
昨日天馬のもとに現れた磯崎と同じ学校の、光良夜桜である。
長い髪をして一見優男だが、笑みにどこか陰があり、隈の濃い目が印象の暗さを助長している。
「これが、あの天馬きゅんのチン毛さんかァ」
相手が何を考えているのかまったく読めない天馬をよそに、
光良は天馬のチン毛をわし掴みにし、引っ張った。
「何するんですか!」
ブチッと音がして、天馬は痛みに目をつぶった。
光良はむしった天馬のチン毛を、日光に透かして一本ずつまじまじと見ながら笑っている。
「おまえ、チン毛トリートメントやったことないだろ?」
「トリートメントですか?」
光良は一歩下がり、目を白黒させる天馬の前にチン毛をかざしながら言った。
「教えて欲しいなら、俺の前でオナニーしてみるんだな、はは」
「わかりました」
天馬は羞恥心に耐えながら自分のちんちんを握った。

わざわざしゃがんで至近距離で見てくる光良が気になり、そろりそろりと手を動かす。
まだ十分な硬さではない天馬のちんちんから、光良は天馬の顔へと視線を移した。
無言の光良だが、その得体の知れない歪んだ笑顔と、侮蔑の色を浮かべた目に天馬は気圧された。
天馬は唇を引き結び、自分の手に亀頭を擦り付けた。そこから生じる快感に集中し、
恥ずかしさを押し殺して上下に扱く。
光良の目が視界に入るたびに、圧迫感と緊張感が走る。それを打ち消すように、
徐々に硬くなった竿から雁首までを夢中で締め上げた。
光良が肩で笑いながら天馬の手をどけて、天馬に見えるようにハサミを取り出した。
そして天馬のチン毛を引っ張って毛にハサミを入れていく。
充血したちんちんにハサミが触れるのではないかというほど近くで、光良は大きくハサミを動かす。
その様子は心底楽しそうである。
ジャキ、と音がするたび天馬の歯もがちがちと鳴った。
すっかり短くなって盆栽のように整ったチン毛を見て、光良は「仕上げだ」と呟いた。
ハサミをポケットに戻した光良は、髪用トリートメントを自分の手のひらに出した。
「ははは、くらえチン毛野郎」
その手で天馬の勃起した器官を包んだ。
たっぷりと油性のトリートメントを乗せた手が、同性の手とは思えない柔らかさで粘膜を責めてくる。
天馬は快感が奔流となって一気に射精まで来るのを感じた。
白濁の液と、それよりも濃いトリートメント剤が混じりあい、光良の手を汚した。
光良は手についた二種の物体を天馬のちんちんに再度なすりつけ、高笑いしながら満足そうに去った。
天馬はあまりの出来事にちんちんをしまうのも忘れ、フルオープンのまま雷門中まで帰ったのだった。





 
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