12・銀世界(深淵/ジェイルク)




 指先で触れた雪は、直ぐに溶け形を失った。
 俺もこんな風に消えるのかな、と隣で子供が小さく呟く。

「ならば、同じように私の熱を奪って逝きなさい」

 冷えた指で触れた緋色は、確かな温度を持っていた。








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