ふと物凄く掃除をしたくなった。しかもとことん綺麗にしたくなったので部屋にバルサンを焚くことにした。目に見えないダニ、ノミまで抹殺する強力なあれである。とりあえず焚いてる間に買い物でもしようと玄関のドアを開けたその時、ドサッとなにかが落ちる音がバルサン中の部屋から聞こえた。何事かと戻ってみると、黒いデカ物が倒れている。

「い…いやァァァァデカいGがァァァ」
「誰がGでィ」
「に、人間!?それはそれで怖い!おまわりさーん!」
「おまわりさんは俺でさァ」
「まあ…世も末ですね」

全身黒服で蠢いていたのでてっきり黒光りするアレかと思ったがどうやら人間だったようだ。よく見たら真選組の恰好をしている。彼は真選組副長沖田総悟と名乗った。

「なんで副長さんが…」
「ちと屋根裏に」
「屋根裏!?やっぱりあなた変質者でしょう!」
「話は最後まで聞きなせェ。あんたの家に攘夷志士がいる」
「攘夷志士?」
「そいつらを監視してたんでさァ。そしたら何やら変な匂いがして…」

あまりの臭さに屋根裏でのたうち回ってたらわたしの部屋に落ちたと言う。どんだけ強力なんだ。人間までバルサンしてしまうなんてなにこれ兵器?というか、家に攘夷志士がいるとはなんだ。家にはおばあちゃんと両親しかいない。攘夷志士なんてそんなおっかない人いる訳がない。

「そのおばあちゃんが攘夷志士でィ」
「えー!?おばあちゃんが!」
「人は見掛けによらず、ですぜ」
「そんな…おばあちゃんが攘夷志士だったなんてそんな…そんな…わけあるかァァァ!!嘘付くならもっとましな嘘付きなさい!」
「チッつまんねェ」
「通報します」

まあ待ちなせェ、と抑える手を振り払い電話を繋ぐ。この人怪しすぎる。
それは一瞬の事だった。耳元で空気が切れる音がした。繋がった瞬間ブチッと切れる。足元に携帯が落ちる。でも携帯は今手に持っている。本当に一瞬のことだった。

「ちょ…切れた!ていうか斬れた!電話斬れた!」
「止めたのにするから」
「だからって携帯ぶった斬る人間がどこにいる!」
「ここにいる。だって俺テロリストだもん」
「やることちっさいテロリストね!もう出てけ!」
「テロはテロでも恋にテロするテロリストでさァ」
「テロテロうるせー!」

玄関まで引っ張り外に放り投げ、鍵を締める。真選組?副長?そんなの知りませんあれはただの不法侵入者のテロリストです。とりあえず腹立たしいので真選組に苦情の電話を掛けることにする。
そして忘れていた。家中は今バルサン中だということを。やばいわたしバルサンされる。


(ちょっとお宅の副長ってなんですか!副長とは勝手に人ん家入って携帯ぶった斬るのが仕事なんですか!)
(は?副長は俺だが…)

さよなら人間
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