この前のバレンタインは予想以上に良すぎた。良すぎて忘れていた。貰うだけではまるでだめなおとこだということを。うっかりさんな俺は今日、今の今まで全く考えてもいなかったのだ。ホワイトデー。お返しを。どうしようどうしようどうしよう。なまえよ忘れていてくれ。

「銀さん…、あたし、今日泊まってもいい?」

こ、れは!
まさしくなまえは期待している!俺からのホワイトデーを期待している絶対100%期待している。とりあえずああ、と返事をしておく。更に状況が悪くなった。

「銀さん?顔色悪いよ」
「バカ言え元からこんな色だ俺は」
「え、そう?」
「でもちょっと具合悪いので病院イッテキマス」
「ええ!あたしも行く」
「大丈ー夫銀さん強い子だから一人で行けるって!すぐ帰ってくるからおまえは待ってろ」
「ちょ…銀さん!?」

危機的状況は打破した。なまえには悪いことをしたがこれもおまえを失望させないため。許せ
とりあえず外に出ればなにか一つはあるだろうと思ったが重大なことを忘れていた。金がない。金もなければ知恵もない。ああ俺はなんて不甲斐ない男なんだ…惚れた女の期待にもこたえられないなんて…ち一人落ち込んでいたらショーウィンドーに飾られているテレビが目に入った。

『今日はホワイトデーですが、彼氏からはなにが欲しいですか?やはりブランド物とか?』
『えぇ〜?チャネルとかピドンとかぁ?そういうにだったら欲しいかもぉ』

女ってこわい

『でもぉ、いくら高いものくれったて愛がなきゃ意味ないしー。愛がこもってたらなんでもいいみたいな?彼氏も貧乏だし…』



「おかえり銀さ……。病院でどうみてもらえればそんなおっきいリボン頭に巻かれるの」
「なまえ!」
「は、はい!」
「ホワイトデー。俺をプレゼント」

大丈夫愛はこもってるから




(どうやらハム子がインタビューされたようです)

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