久しぶりに金が入ったから、奮発して外で飯を食うことにした。ここは一つ、いや二つくらいパフェ的なものを頼もうとしたが神の鉄槌をくらいそうだからやめておいた。適当に注文して来るのを待つ。さっきから気になってたことだがなまえがずっとそわそわして落ち着きがない。トイレ的ななにかかと空気を読める俺はあえてなにも言わない。他愛もない話をしているうちに注文していたものが来る。食べる。食べる。食べる。あっという間に平らげる。なまえを見ると、ほとんど食べていない。食欲がないのか。おい、と声を掛けようとしたが、お待たせしましたあ、とウエイトレスに邪魔された。待たせてないし待っていない。

「チョコレートパフェ三つになりますう」
「は?頼んでねえよ、それは俺への挑戦ですか痛っ!」
「ありがとうございます、置いといてください」

思いっきり足を踏まれた。

「おま、まさか一人で全部食う気か?俺への当てつけですか」
「そんなわけないでしょ銀さんじゃあるまいし」

コホン、と一息つくとなまえはチョコレートパフェを俺の目の前に置き、

「今日はバレンタインだからね。あたしからのハッピーバレンタイン」

と、少し俯き加減に話した。

「なまえ…おまえ」
「でもバレンタインだからってあたし以外にチョコレートもらっちゃダメよ!あ、神楽ちゃんなら許す」

あまりのなまえの可愛さにこの場で抱きしめてキスしたくなった。しかし空気を読める俺は今ここでそんなことしたらどうなるかくらいわかる。あえてやめる。だけど、せめて。

「ありがとな。なまえ以外に貰うなんて俺のスケジュールには入ってねえよ」

感謝の気持ちを込めて、こいつに手にキスをした。なまえを見ると怒っているかと思ったが、意外にも顔を赤くして俯いていた。なんなんだ、今日のこいつ可愛すぎる!

「は、早く食べて!」
「はいはい」

今日はパフェも食べれたし、なまえの可愛いところも見えたし、大満足だ。只、欲を言えば。欲を言えば、手作りが欲しかった。

「あの、家に帰ったら…いらないかもしれないけど、チョコレート、あるから。あたしが作ったの」
「…まじでか」

銀さん
今夜
狼になります。



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