今日新しい子入ったから、と有り金全てかっさらって行った破壊神がとてつもなくどうでもいいことを言いながら帰った。店に行けってか。誰が行くか!自慢だがうちには砂糖と塩しか残っていない!それにあの店で働く人間なんて大抵身体になんか生えてる天人かロボットかこそ泥か殺人兵器くらいだ。犯罪の匂いがぷんぷんする。とりあえずマシな人間はいない。

「いらっしゃい…て銀時じゃないか。早速来たのかい」
「あー今回はどんな犯罪者を雇ったのか気になってね」
「そんなこと言って後で後悔するよ」
「は」
「いらっしゃいませクソ野郎。熱々のおでんはいかがですか」

聞いたことある声が聞こえたと思ったら、頭上から得体の知れないなにかが振って来た。しれがなにかなんて悠長なこと考えてる暇はない。熱い!バターになった気分。
あまりの熱さに我を忘れていたのかいつのまにか外に出ていた。外のひんやりとした空気が心地よい。

「そのまま死ねバカヤロー」
「…なまえ!?」

聞いたことある声だ。当たり前だ。昔愛した女の声だからだ。この声を忘れたことは一度もない。声だけじゃない、顔も身体も名前も全て。その姿が今目の前にいる。夢か幻か。試しに頬をつねってみた。痛かった。

「ずーっと探して、やっと見つけたと思ったら万事屋銀ちゃん?ふざけんじゃないわよ」
「ちょ、なまえ」
「なにが万事屋銀ちゃんよ!あたしがどれだけ心配したと思ってんの。連絡の一つも寄越さないで」
「なまえ」
「せめて生きてるか死んでるかくらい教えなさいよ!死んでたら殺してやる」
「…悪かった」
「生きてて、よかった」

夢でも幻でもない。
華奢な身体を震わせてるなまえを抱きしめた。何年ぶりだろう。あの頃から変わらないなまえの香りが鼻孔を擽る。この香りが一番安心する。

「どうでもいいけどあんたたち、店の前でイチャつくんじゃないよ。営業妨害だよ。イチャつくなら他所でやっておくれ」




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