家に帰ったらなんか銀さんが二人いた。

「へえ…こいつがなまえか。いい女」
「オイ惚れんじゃねーぞ」
「本当にアホだな。俺はおまえのコピーなんだぜ?つまりおまえの好みは俺の好み。おまえの物はおれの物」
「ふざけんな死ね」

勝手に話が進んで銀さんと銀さんが取っ組み合いを始めた。完璧にわたしおいてきぼりである。わたしの家なのに。ていうかなんで家にいるの。いやそんなことよりも…
なぜ銀さんが二人いる

「ちょっと銀さん!」
「「あー?」」
「ひ…!」

呼ぶと銀さん二人が振り向いた。こえーよ!正直不気味すぎる。
しかしよく見ると一人はいつもの銀さんだが、もう一人は服や肌の色が違う。こっちが偽物?

「あの…これは一体なんなの…わたしついていけない」
「ああこれ俺のクローン」
「クローン!?」
「なあなまえさんよ、こんなボンクラと別れて俺の嫁になんない?」
「いや、あの…」
「おいなまえちゃんテメーなに翻弄されてんだ」

いやちょっと日焼けしてる銀さんもかっこいいな、と

「テメーにボンクラなんて言われる筋合いねーよ。ていうか俺のクローンならテメーもボンクラだろ!」
「俺は原本より出来がいいんだよ」
「なに言ってんの元は俺の鼻くそのくせに」
「バッカそれは言わない約束だろーがァァァ」

よくわからないが肌が黒い方は銀さんのクローンで、元は銀さんの鼻くそだと。鼻くそだと!?汚っ!とっさにわたしは黒い銀さんから離れて元の銀さんの後ろに隠れる。元の銀さんはふん、と勝ち誇った顔。黒い銀さんは寂しそうな顔をしていた。だって、鼻くそ…
そして黒い銀さんはしょぼしょぼと元気がないままどっかに行った。なぜか申し訳ない気持ちになった。でも、鼻くそ…

「所詮本物には勝てねーよ」
「なんかわたし罪悪感でいっぱいなんだけど…」
「なに、おまえもしかしてあいつのこと…!浮気ですかコノヤロー」
「浮気もなにも、どっちも銀さんじゃない」
「いや銀さんは俺だけだからね」

とりあえず、よくわからない一日だった。その日からクローン銀さんを見ることはなかった。銀さんに聞いても答えてくれないし、彼は一体何者だったのだろう。わたしの人生最大の謎である。




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