金もないくせに相変わらず酔っ払って帰って来た銀さんに、そろそろ堪忍袋の緒が切れそうだ。というか、切れた。

「いい加減にしなさいよばか!もうアルコール禁止!ついでに甘いのも禁止!」
「なんでもいいから…いちご牛乳…いちご牛乳持ってきてください…うぷ」

野垂れ死んでる銀さんの親指に朱肉を押し付け、「これから一ヶ月酒と糖分は控えます」と書いた誓約書に拇印を押した。これで奴は一ヶ月酒と糖分は摂取できない。最初は一生にしてやろうかと思ったがあまりに可哀想なので一ヶ月に譲歩してやった。わたし超優しい。明日の銀さんの反応が楽しみである。

「うわ…二日酔いだわ…オメーら今日静かにしてろよ」
「おはよう銀さん!!」
「ぎゃあああああ頭に響くゥゥゥ!なまえテメー静かにしてろって言った矢先に耳元ででかい声出すな!うわ頭いてぇ…」
「え!そうだっけ!?ごめん聞こえなかった!!」
「なにこの無駄な元気?嫌がらせにしか見えないんだけど。とりあえずいちご牛乳ちょうだい」
「はい」
「これどう見ても牛乳なんですけど」
「いちご牛乳は定春の胃袋の中よ」
「は、はあ!?…痛ェ!」

昨日の誓約書を見せた。なにこれと頭に?を浮かばせて読むが、次第に額に汗を流し震え始めた。おまえはアル中か!

「なにこれ!俺身に覚えないよ!知らないよ!」
「正真正銘銀さんの拇印ですから。約束は約束」

固まったまま動かない銀さんはそのまま灰になり土に還っていった。
これはわたしも心を鬼にしてしていること。無論酔っ払って帰ってくるのは非常に腹立つことなのだが、できれば銀さんのやることに制限はしたくなかった。しかし我慢の限界。これも銀さんの健康を守るため。許して。

禁酒、禁糖を始めてから一週間が過ぎた。一週間ももつなんて意外だ。しかし、そろそろ銀さんも限界のようだ。

「糖分が足りないんだけど!ついでにアルコールも足りないんだけどォォォ」
「ついに銀さんに禁断症状が!万事屋は一体どうなるのでしょう」
「実況してんじゃねえよ!!なまえさんもう勘弁してください」
「えー」
「酒、ほどほどにするんでお願いします」
「糖分もな」
「……はい」
「わかったわかった。いいよ、今日で終わり」
「マジでか!」

一瞬にして顔が輝いた。相当嬉しいのだろう。銀さんにしては一週間もよくがんばったと思う。正直驚いている。逆に一ヶ月もっていたらどうしよう、て感じだ。

「ごめんね銀さん。一週間よくがんばったよ。ご褒美になでなで」
「…オメーは飴と鞭の使い分けがうまいな」
「そう?」
「そのご褒美は不服だけどな」
「え、ぎゃあ」
「こっちは一週間も糖分我慢してんだよ?目の前に甘いものあったら我慢できないから」
「目の前!?ちょ、冗談」
「じゃありません〜」
「飴、飴あげる」
「足りません〜」

今後一切禁酒禁糖はさせません。心の誓約書にわたしは拇印を押した。





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