4月1日。エイプリルフール。大嘘ぶっこいても笑って許してくれる日。ということで世界に便乗してあたしもひとつ大嘘ぶっこいてみようと思う。相手はもちろん銀さんだ。さあどんな嘘をつこう?どうせならあの銀さんが吃驚仰天するような、凄い嘘をついてみたい。ベタにあたしたち別れよう…はあたしが嘘でもいやなので却下。だからと言って他に思いつかない。レパートリーが少なすぎる。嘘をつくって難しい…
あ、銀さんが来た。どうしようどうしようなにか言わなきゃ嘘嘘嘘なにか嘘嘘

「ぎ、銀さんあたし赤ちゃんできた!」

よりによってそれなのあたしのばかァァ
咄嗟に思いついたとしても、これはタチが悪い!冗談でも笑えないわ!銀さんを困らせるだけだわ!
謝ろう。ごめんなさい嘘です!とにかく謝ろう。が、銀さんがあまりにもニヤニヤしているので思わず言葉を詰まらせてしまった。

「オメーそれエイプリルフールでしたぁ〜とか言うんだろ?生憎俺はそういう類いには騙されないからね。銀さんを騙すなんて百年早ェよ」

どうやら銀さんのほうが一枚上手だったらしい。ごめんね、と謝るといいってことよ、と頭を撫でてくれた。これで1年に一度のエイプリルフールは騙せることなく終わった。と思われた

「なまえちゃん赤ちゃんできたって本当アルか!?」

なぜか一人騙されていた。よりによって神楽ちゃんが。

「銀ちゃァァん!お母さんそんな無責任な子に育てた覚えないヨ!」
「俺も育てられた覚えねえわ」
「あ、あの神楽ちゃん…」
「銀ちゃんもパピーの二の舞ネ!」
「神楽ちゃんあのね嘘だからねエイプリルフールだからね」
「男は黙って責任取れヨ」

神楽ちゃんあなた何歳?
勘違いしている神楽ちゃんは暴走したまま。あたしの声は全く届いてない。お願いだから聞いて、嘘って単語だけでもいいから
銀さんはというと、特に気にした様子もなく鼻をほじっていた。

「んー、まあいいんじゃねえの。そろそろ」
「なにが」
「坂田家の嫁に来ても」

神楽もそう言ってるし、といつもと変わらない死んだ魚の目で言う
それはエイプリルフールの嘘?

「ばーか、銀さんは嘘つけない男なんですぅ」



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