「おいなまえ」
「鍛練バカ」
「ああ!?」
「あ、ごめん」

ついさっきまでナミとゾロってなんであんなにトレーニングするんだろうねー、鍛練バカだからよ、という会話をしていたのでつい口が滑ってしまった。よりによって本人に言ってしまった。

「ごめんねゾロ。さっきまで」
「上等だ」
「は」
「おれにそういう口をきくってことは、覚悟出来てんだろうな…?」
「え、え?」
「まずテメーのその貧弱な身体から鍛えてやる」
「なんでそうなるの!?」

ゾロを怒らせたわたしが100%悪いが、なぜそんな展開に。引きずられながらすみませんでしたと陳謝するも止まることなくトレーニングルームに進む。

「じゃあまず身体慣らしに腹筋背筋腕立て1000回」
「無理無理無理!死んじゃう!」
「こんなもんもできねェのか情けねェ」
「君の基準で考えないでくれる!?ゾロわたしの弱さ知ってるでしょ?わたし弱いの体力ないの!」
「胸張って言うことか」

四の五の言わずにさっさとやれ!と床に押し倒される。頭を強打。痛いわ怖いわで泣きたくなった。でもこのまま引き下がるのも腹が立つのでゾロの真似して上等だ!と言うとゾロは面白そうにニヤリと笑う。
ゾロに足を押さえてもらい、とりあえず腹筋から。

「…限界っ」
「まだ10回だろ」
「いいの!わたしはゾロみたいにお腹割れなくていいから腹筋できなくてもいいの!」
「なんだそりゃ…」

気を取り直して今度は背筋!

「いち、に、さんっ」
「まな板で跳ねる魚かテメーは」
「なにをををを」
「背筋はいい」

今度は腕立て伏せ。腕立て伏せって聞くとこの前を思い出す。あの日は勝手にわたし(の脳内)が暴走して途中で帰っちゃったんだ。後々考えれば失礼だよな。腕立て伏せをやる前に謝ろう。

「ゾロ。この前はごめんね」
「あ?なにが」
「途中で帰っちゃって」
「…あれか」
「ごめんね」
「ああ。おれはかなり傷ついた」
「え」
「だから」
「ぐえっ」

俯せで床に倒されると、ゾロはわたしの背中に乗っかり

「腕立て伏せな」

て鬼か!
只でさえ出来ないのに重いゾロが乗っちゃ動くことさえ出来ない。この前と体制逆転である。

「ちょ、重い」
「ほらやってみろ」
「ゾロ楽しんでるでしょ!いじめだ!」
「鍛練だ、鍛練」

と言いつつクックックッと笑い声を押し殺す振動が身体を伝わって来る。ちくしょうわたしは怒った!どうにか身体を反転させ笑うゾロを睨む。そういえばゾロが笑ってるとこ久しぶりに見た気がする。普段のゾロもかっこいいがこういう笑顔を見せるとこはかわいいな、なんて考えていたら

「怒ったり笑ったり忙しい奴だなおまえは」
「…な」

いつものあの顔がドアップにあった。両腕も押さえられ、押し倒された状態。いつの間に。ていうかこの状況なに!頭がついていけない。

「鈍感女」
「な、なんですってェ!」
「早く気づけよ」

なにが、と言葉が出る瞬間トレーニングルームのドアが開く。

「おいゾロ。なまえちゃん見なかったか?おやつの時間なのに来ねェんだ…が」

あ。
サンジ君がキレる五秒前。





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