「……」
「シシシッ」
「なんでいるの?」
「昨日村に来いって言ったじゃねーか」
「そりゃ言ったけど…」

あれから一日が経った。なまえの説明でなんとか村人は麦わら一味を受け入れてくれた。一部疑う人もいたが、大きなことにはならなかった。
そして突然の訪問者。どうやって家がわかったかは触れないでおく。とりあえず玄関に突っ立っていられるのも困るので中に入れる。

「あなたのこと調べたわ。麦わらのルフィ。懸賞金三億のルーキーだってね」
「おう」
「そんな強そうには見えないけど…」
「おまえ失敬だな!おれは強ェぞ。仲間もスゲー強ェぞ」
「へえ?」
「ゾロって奴が〜」

仲間の話を楽しそうに話す。あまりにもいい笑顔で話すのでなまえもつられて笑顔になる。

「ねえ。気になってたんだけどメリーってなんなの?」
「メリーはメリーだぞ」
「答えになってないんだけど」
「メリーは東の海から一緒に旅した仲間だ」
「なかま…」
「途中で別れたけどな」
「そっか…」
「オメエはメリーみたいなんだ」
「わたしが?」
「メリーもひつじだしな!」
「ひ…羊が仲間だったの?」
「おう」
「変わってるのね…」
「そうか?今はライオンだけど」
「え!?ライオンが仲間なの!?」
「ああ!サニーだ!」
「とてもユニークね…」
「さすがフランキーだよな!超かっこいいんだぜ!」
「フランキー?」
「おれの仲間だ。おれの船を作った船大工なんだ!」
「ん?ちょっと待って」
「なんだ?」
「サニーって…船?」
「おう!船首がライオンで超かっこ「じゃあメリーも船?」おう、船だ」
「………」
「なんだ?どうした?」

なまえは激しく落胆する。仲間と言うから、てっきり生きた羊やライオンが仲間なのかと思っていた。そんな海賊があるか。いやきっとない。逆に安心した。

「なあ、仲間になれよ」
「まだ言ってるの?わたしはただの能力者であって、あなたの考えてる“おもしろひつじ”じゃないわよ」
「ああ。それは昨日でわかった。スッッゲェー残念だけど」
「そこまで強調されるのも腹立つわね」
「でも仲間になれ」
「お断りします」
「だめだ!おれがおまえを仲間にしたいからおまえは仲間になるんだ」
「どこのジャイアン!?」

走って超逃げたい。だがそれは昨日の二の舞になるのでやめた。

「なんでわたしを仲間にしたいの?」
「仲間にしたいからだ」
「誰かー通訳寄越してー」
「ひつじのオメエももこもこしていいけど、人間のオメエもなんかわかんねェけどいい」
「さりげなく失礼ね」
「こうやって側に居てほしいんだ」
「え」
「もこもこ気持ちいいからな!一緒に寝てェ」

そういう意味かよ。わたしは枕じゃない。思わせ振りなことを言うからドキドキしてしまったじゃないか。わたしのドキドキ返せ!なまえは心の中で全力で突っ込む。

「悪いけどわたしは海賊にはならない」
「なんで?」
「なんでって言われても…怖いもの。戦えないし、弱いし」
「でも自由だ!」
「自由には憧れるけど、やっぱりわたしには」
「うるせェ!」
「うる…!?」
「弱いならおれが強くしてやる、怖いならおれが楽しくしてやる、戦えないならおれが守ってやる!」
「ねェ…なんでそこまでしてわたしを仲間にしたいの?只の足手まといだよ」
「わかんねェ!」

わかんねェってそんな無責任な。ただ真っ直ぐに見つめる目が真剣そのもので、なまえは目が離せずにいた。自由な海には憧れるが、この生まれ育った平和な村も好きなのだ。

「ちょっと考えさせて」
「だめだ」
「えっ」
「考えるってことは仲間になってもいいってことだろ?じゃあ考える意味はねェよ」
「ええー!なんでそうな…あ!?」
「新しい仲間だー!」

ルフィはなまえを肩に担ぐとそのまま家を出ていった。そしてはなまえ二度とこの家に帰ることはなかった。






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