「で?」
「新しい仲間だ!」
「バカかテメエは!」

ルフィの腕にはもこもこの暴れている羊。ゴムゴムであっけなく捕まってしまった羊はそのままサニー号に拉致された。新しい仲間だと豪語する船長に呆れるクルー達。

「なんで羊が仲間になるんだよ」
「だって喋るんだぞ!おもしろひつじだ!」
「どんだけ採用条件低いんだうちの船は」
「だが非常食としてはアリだ。ジンギスカンはタレで揉み込んでから焼くのが美味いな…ポン酢で食うのもオツでいい。でも鍋もいいな」
「!?」
「うひょーうまそう!」

サンジの言葉により完全に命の危機を感じ暴れまくる羊。暴れんな!とルフィは羊の頭を殴る。たんこぶを作り静かになる。

「ルフィ!動物いじめんなよ!可哀想だろ!」
「チョッパーの言う通りよ。ていうかその羊全く喋らないじゃない」
「そういえばそうね」
「おいひつじ!喋ろ!」
「………」

プイッと無視する羊。喋ろ!と羊を振り回すも、一言も声を発することはなかった。

「ルフィ。捨ててらっしゃい」
「いやだ!メリーは仲間だ!」
「メリー?」
「だってメリーみたいだろ?だからメリーだ」
「ああ、メリー号…」

ゴーイングメリー号の船首と同じ羊だからメリー。名前をつけている辺り仲間なのかペットなのか不明だ。不満なのか思いっきり暴れる羊。再びルフィの拳が振られたんこぶがだるまになった。

「ルフィ!」
「だってよ、こいつが暴れるからよ」
「じゃあ本人から聞いてみましょうか」
「?」
「“六輪咲き(セイスフルール)”」

ロビンが構えると、羊の身体から六つの腕が生える。その指が怪しく動き羊の身体中を擽る。

「ひゃ!ちょ、やめ、やめてェェェ」
「あ。喋った」
「し、しまった…て、ちょ、やめ!くすぐったい!」
「じゃあ仲間になれ!」
「おまえは鬼か」

擽り地獄から解放される。涙目にながら息を整える。

「とりあえず…離してくれる?」
「離したら逃げるだろ」
「逃げないから」
「本当か?」
「一から説明するから、離して」

ルフィは羊を床に下ろす。下ろされた羊はルフィの方を向くと、人間の姿に変わる。そこには若い女の姿。

「あれ?」
「わたしはなまえ。悪魔の実を食べた羊人間なんです」

動物系悪魔の実“ウシウシの実”モデル“羊(シープ)”
悪魔の実を食べてしまった時の絶望感は酷かったという。変な実だったらどうしようと悩んだ。ただ、その能力は羊になる羊人間。正直言って安心した。この能力を使って村の子供達とよく遊んでいる。さっきも遊んでいたところをルフィがやってきてそして拉致された。

「テメエただの人拐いじゃねェか」
「しかもこんな可愛らしいレディを…よくやった!」
「いや違うだろ」
「それならあんたももっと早く言えばいいのに」
「黙ってればただの羊だからすぐ降ろしてくれると思って…」
「随分楽観的な考えだな。相手は海賊だぜ?」
「!?」
「あんたはなんでそう脅かすのよ」
「私たちはあなたが考えてるようなことはしないわ。必要な物を揃えて、ログが溜まればすぐに出航する。ねえナミ?」
「ええ」
「本当?村を襲ったりしない?」
「どうだろうな」
「!!」
「だから脅かすなっつーの!」

無駄に怖いゾロにナミの制裁が下る。
一部怖い人もいるが、想像していた海賊とは違う海賊。変わっている。とりあえず村が襲われないと知りなまえは安堵する。

「じゃあ、わたしはこれで」
「だめだ!」
「わっ」

船を降りようとするなまえの腕をルフィが掴む。

「な、なに?」
「メリーは仲間だ!」
「だからわたしはなまえだって…」
「もう二度とメリーを失いたくねェ!」
「?なんのこと…?」
「ルフィ…」

ルフィの心中を察したクルー。妙な空気が流れる。なまえは居心地が悪かった。ルフィの手を振り払い、なまえは船を降りる。

「村のみんなにはわたしから説明する。安心して村に来て」
「ありがとう。あとごめんなさいねうちのバカが」
「気にしないで。それにあなた達がいい人ってわかったから」

さようなら、となまえは村へと帰って行った。ルフィはその後ろ姿をただ見つめていた。






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