「サンジー!腹減った!…あれ?」
「…あ、ルフィ」
「テメエ、さっき飯食ったばかりだろうが」

食を求めキッチンに入るとそこにはいつも居るサンジと、珍しくエプロン姿のなまえがいた。予想外な人物を見て、ルフィは勢いよくドアを開けたまま固まっている。

「?どーしたルフィ」
「なんで…サンジとなまえが…」
「あっ、こ、これはっ」

頬を赤く染めるなまえ。
キッチンにサンジとなまえが二人きり。そしてその初な反応。鈍いルフィでも察しがついた。

「サンジィ!」
「ちょ、ルフィ!」
「なに良い感じに勘違いしてんだテメーは」

殴りかかろうとするルフィをなまえは抑える。サンジは頭を冷やせと頭に蹴りを一つお見舞いする。

「なまえちゃんの名誉の為に言っておくが、テメーが想像してるようなモンじゃねえ」
「そう!わたしは只サンジ君に料理を教わってただけよ」
「料理?」

なまえは大好きなルフィに手料理をご馳走したく、一流コックから料理を教わっていたのだ。全く妬けるぜ、とサンジはタバコを吹かす。その真相を聞き、臨戦態勢だったルフィは力が抜ける。只、その為にキッチンに二人きりで居たのかと思うと内心複雑なのだった。

「なまえは料理できねェのか?」
「できないわけではないけど」
「じゃあサンジに教わらなくてもいいじゃん」
「ルフィには美味しく食べてもらいたい。だからサンジ君に教わってたの!サンジ君料理上手だから…」
「健気だなまえちゃん…!本当ルフィには勿体なすぎるぜ」

感動しているサンジを横目に、ルフィはなんとなく納得行かず口をへの字に曲げる。心がもやもやする。

「そんなのサンジの真似して作ってるだけじゃねーか」
「な」
「…今自分がなに言ってんのかわかってんだろうな」
「だったらサンジの飯食った方がいい」
「……」
「ルフィ!テメエなまえちゃんの気持ち踏みにじる気か!」
「だから!おれはなまえが作った飯が食いたい!」
「え?」
「は?」
「サンジの真似して作ればサンジの飯の味じゃねーか。うまいけど。だったらなまえが作っても意味ねェ。おれはなまえが作った、なまえの味が食いたい」
「ルフィ…!」
「こいつはまた核心を…」

心のもやもやが晴れ、言いたいことを言えたルフィはすっきりした表情で笑顔を見せる。なまえはというと、最初のルフィの言葉で悲しみのどん底に陥ったが今の言葉でルフィの本心が理解でき、飛び回りたくなる程嬉しくなった。

「わかったわ!サンジ君ありがとう、これから一人でがんばってみる!あ、キッチン貸してね!」
「あ、ああ」
「夕飯はわたしに任せてサンジ君は休んでて。折角だからわたしの村の郷土料理を皆にご馳走するわ」
「えー!それはダメだ!」
「なんで?」
「なまえの飯食うのはおれだけでいいんだ!」

わいわいとはしゃぐ二人をサンジは傍観者のように見ていた。

「なまえちゃんを不幸にしたら地獄に落とされるぜ、ルフィ」

サンジの独り言は二人には聞こえず。
ルフィの言葉に一喜一憂するなまえ。ルフィに料理を食べてもらいたいから教えてほしいと懇願する健気さ。一途に想われるルフィがクソ羨ましいサンジなのだった。



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