ロビンが女部屋で読書をしていると、なまえが無言でズカズカと入って来ては、今度はクローゼットの中に入ろうとしている。怪しいのでロビンは声を掛けた。

「なまえちゃん?そんなところでなにをしているの」
「ロビン!シーっ」
「?」
「かくれんぼ!今ルフィとかくれんぼしてるの」
「あら。楽しそうね」
「ロビンも混ざる?」
「そうね。今度ぜひ」
「うん。…て呑気に話してる場合じゃなかったわ」

衣類をかき分け人一人分のスペースを作ると、なまえはそこに入りクローゼットの扉を閉める。

「ロビン、ルフィが来たらわたしがいること言わないでね!」
「ええ。でも無駄だと思うけれど」
「?」

クスクスと笑うロビンの言葉になまえは理解できなかった。そうしているとルフィと思われる足音が聞こえてきた。なまえは唾を飲み息を潜める。

「なまえ!」
「ルフィ。ここは男性立ち入り禁止よ」
「そうだけど、ここになまえが来なかったか?」
「さあ…?」
「おかしいなあ…」

扉が閉まった。どうやらここは諦めたようだ。なまえはホッと安堵する。

「やっぱりここだ!」
「!」
「あらルフィ」

荒い足音が聞こえる。足音はなまえのいるクローゼットの前で止まる。ドキドキと心臓の音が早まる。見つかりませんように見つかりませんように。そんな願いも虚しく扉が開かれる。目蓋の裏が明るくなった。目を開けるとそこには鬼の姿。

「なまえ見ーっけ」
「また見つかっちゃった…」
「フフ」
「ロビン!オメー嘘言いやがったな!」
「人聞き悪いわ。私は否定も肯定もしていない」
「……」
「それより、早くここを出た方がいいんじゃなくて?ナミに見つかったら大変よ」
「…確かに!おじゃましました!」
「わ、ルフィ!」

ルフィに手を引っ張られ女部屋を出る。扉が閉まる瞬間、ロビンの笑顔が見えた。

「なまえ、卑怯だぞ。女部屋はダメだって言ったじゃねェか」
「ごめん。でも何処に隠れてもルフィに見つかるんだもの!もうあそこしかなかったのよ。許して。ね?」
「ヤーダ。許さねェ」
「えー」
「なまえがちゅーしてくれたら許す!」
「…えー」
「なんだそのえーは!おれは傷ついたぞ!」
「うそうそ」

なまえは背伸びしルフィの左目の傷に軽くキスをする。ニコニコと笑うなまえにルフィはそこじゃないと不満を漏らす。

「しょうがねェから許してやる」
「ありがと」
「シシシッ」

正直悪い気はしなかったのだった。

「でも、なんでルフィはわたしが隠れてるとこわかるの?」

なまえの一番の疑問だった。隠れ始めてすぐにルフィはなまえを見つけるのだ。数分もしない内に。どんなに巧みに隠れても簡単にルフィに見つかってしまう。だから最後の手段を使った。結局見つかってしまったが。そんななまえの疑問にルフィがそんなことか、と話す。

「なまえのにおいがするとこに行けばおまえがいる。それだけだ」
「え…」
「女部屋はなまえのにおいいっぱいだからな〜だからわかんねェ」

見つけたけどな!と威張りながら言う。ロビンのあの言葉が頭を過る。ロビンは知っていたのか。そしてお前は犬か、なまえはそう感じるを得なかった。

「そんなのかくれんぼにならないじゃない!ずるい!」
「なまえがじゃんけんで勝つからだろ」
「う…じゃあ今度はわたしが鬼!ルフィが隠れて!」
「じゃあじゃんけん!」

じゃんけん!
グーはなまえ。チョキはルフィ。

「シシシ、おれが鬼」
「ええー」
「なまえが何処に隠れたって必ずおれが見つけてやる」

今度はどこに隠れよう。果たしてルフィ(の鼻)から逃れられるか。いろんな意味で真剣に考えるなまえだった。




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