「エース、ちょっとそこになおれ!」
「なんだよ改まって。ついに愛の告白か?おれはいつでも準備オッケーだぜ」
「なんの準備!?」
「なにって子作り」
「さらっと言うな!そして違う!」
「えーつまんねェな。じゃあどうした」
「どうしたもこうしたもないわよ。あんたわたしがナースのみんなから貰ったお菓子食べたでしょ」
「い、いや知らねェよ?おまえの部屋にあった高級菓子なんておれ知らねェよ」
「知ってるじゃない」
「げ!しまった!」
「あんた嘘下手なんだから変に言い訳しない方がいいわよ」
「よくわかってるじゃねェか。さすがおれの嫁」
「じゃねェェェ歯食いしばれ!」

歯食いしばれと言われても。炎のあいつに殴れる訳ないのだ。なまえの拳はエースの身体を通り抜け宙を切った。この行動は炎の中に手を突っ込んだことと同じで、熱さになまえは悶える。それを見てケタケタと笑うエース。海に突き落としてえええええ!なまえは思った。

「相変わらず威勢がいいな」
「じゃなきゃ親父の娘はやっていけないわよ」
「それもそうだ」

エースはなまえの腕を掴むとシャワールームに連れていく。火傷まではいかないが、赤くなっている患部に水を掛けてあげた。優しいなあ、と思ってエースを見るとかなりの満面な笑顔で

「なまえを傷物にしちまったなー!おれが責任取るから安心しろ!」

と寝ぼけたことを言うので前言撤回する。

「なんでそうなるの!ていうかお菓子返しなさいよ!」
「いいじゃねェか減るもんでもねーし」
「いや減ってるんですけど!?むしろないんですけど!」
「ないもん返せって言われてもな」
「吐け!」
「んな無茶な」

楽しみにしてたのに!とエースの両肩を掴み勢いに任せて激しく揺り動かす。当の本人はあははーと笑って全く動じず悪びれた様子がない。そんなエースに対し怒りのボルテージがMAXななまえはシャワーを掴むとエースに思いっきり水をぶっかけた。

「冷てェ!なにすんだ!」
「エースが悪いのよ。わたしこんなに怒ってるのにごめんの一言もないんだから」
「過ぎたことはしょうがないだろ」
「そうやって謝らずにはぐらかすの?エースのそういうとこイヤ!」
「…ああ?そういうおまえはどうなんだよ」
「なにが」
「はぐらかしてるのはいつもなまえだろ」
「…な」

シャワーを持つ手を掴まれると、今度はエースがなまえに水を掛け始める。冷たい、と感じる瞬間温かいものに包まれる。エースに抱き締められていると気付くのにそう時間は掛からなかった。普通の人体より高温である。

「おれがおまえを口説く時ははぐらかすくせに」
「口説くって…あれが口説いてるっていうの」
「んな!心外だ!おれなりにがんばってんだぞ!」
「わたしはてっきり冗談だと思ってた」
「そんな嘘付けるか。おれが嘘下手なの知ってんだろ」
「十分過ぎるくらいね」
「さすがおれの嫁だ!」
「嫁じゃないっつの」

でも、となまえは続ける。

「もっとロマンチックに口説いてくれたら考えてもいいよ」

そしたら今までのこと水に流してあげる。なまえの言葉にエースは唖然とする。意味を理解するとさっきよりも強く抱きしめるのだった。果たしてエースはロマンチックに口説けたのかは、今後の二人の様子でわかるだろう。とりあえず、明日二人は仲良く風邪を引くのだった。




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