――世界は丸い一つの極彩色の宝玉から生まれたという。
それは渾沌の中で生まれた龍らが抱いたものであり、特色のない箱庭だった。
そうこの最初の世界はあらゆるものから閉ざされたものだった。かの龍が死ぬときに七つに砕け、弾けて、飛散した破片はこの世界を広がった。
それぞれが龍の屍とともにこの大地を創り、ややしばらくあってからそのままそこへ宿った。はじめこそは何もなかった大地だったが、複雑に豊かな色が交わり、さらに多くの命を芽吹かせ、そして最後に欠片の残滓が依り代を頼りに集まり小さな竜へと姿を変えたのだった。その竜が目覚めた場所だけが不毛の地になっていたという。
命あるものはなにものであれ、そこで生きることはできない禁断の地。
そこはいつかの龍が還るための場所。

いま、この大陸には七つの国とそれを一つと纏める宗主国がある。古に龍が住まったとされる玉流山を手にして大陸の覇者となった大国は創世の伝説に沿って領地を七つに分けた。そして、それぞれにそれぞれの色を宿した玉を与えた。それはやがて七つの国になった。

中央から少し東にずれたところにある山間にその邑はあった。遠くからはてっぺんがやたら平たいただの大きな山にみえるのだが、その山には大鍋のような窪地があって、泉も川があって、小さな湖、林、ちょっとした箱庭のような場所だった。当然の如く、そこに人里が作られていた。この人里はどの国にも属さないとある集団が遥か昔から治めていた。中心から少し北の丘にその里の重要な建物がある。黒塗りの木材でどっしりと構えた楼閣からこの里を隅々まで見渡せる。晴れた日にはそれは遠く、山の向こうの大陸中心の玉流山まで。

かの山も誓約を逃れたこの異郷を見つめるように天空の城を構えていた。その欄干に手をかけて白い少女は飛んだ。その日は太陽が闇に呑まれて、天は昏く、残された月だけが皓々と輝いていた。

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