しぐまが進化した
うちより先に
進化したしぐまは
大人っぽくなってて、
なんか、敗北感というか
焦燥感…?


「うちもクエストいったろかな…」

ふと呟いた言葉に
「なんで?」

いるはずの無いしぐまの声が

「な?ななななんでおるねん?!」

「だってバジルすぐ帰っちゃうんだもん
あたしから逃げるように」


「…っ」


だって、うちどうしたらええか
わからんかってん、
進化して、大人っぽくなったしぐまは
いつもみとった、うちが知っとる
しぐまやなくて…

「…ねえバジル」

「なんや?」

「バジルは進化しなくていいよ」

「は?何でそんなこと
あんたに決められなアカンの」

俯いたまま、喋る
あんたの顔が見えんように
幸いしぐまは顔を見ようとはしとらん

「はは、そうだね、決める権利ないか」

…は?なんでそんな悲しそうな声で喋るん

「しぐまはうちのこと嫌いなんやろ?」

「え?なんて」

「うちの事見返そうとしてたんやないん?」

「は?」

「は?」


え?うちの勘違いやった?

「バジルなんか勘違いしてない?」

「あたしが進化したのはね」

やめて

「バジルの事強くなって守れるようにだよ」

やめて

「嫌いなんかじゃないよ」

やめて

やめ

「ねえバジルこっちみて」



「バジル」

聞きたくない

「ね、好きなの」

いっそ嫌いっていってくれれば

「バジル」

「うちは、嫌いや」

「うん」

「あんたのそういうとこ全部、全部嫌いや」

「うん」

「だいっきらいやっ」

「うん」

「あんたなんか…あんたなんか…」

「うん」

「すきじゃぼけえ…」

「うん」

涙が止まらなくて
そんなうちをしぐまが
優しく包んでくれる
世界一大嫌いで大好きな人

「バジルはあまのじゃくだよねー」

「うっ」

「でもそういうとこ含めて大好きよ」

「あほ、、」


「はいはい」

ぽんぽんと優しく頭を撫でられる
なんなんほんまむかつくくらい
優しいんなんなん…
ほんま、なんなん…







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