AOT中編 | ナノ


▼ おつきさま満ち欠け

あ……なんだ?

待て、ナマエ。ちょっとこっち来い。そうだ、手前まで来い。クソ、この間ライトを替えちまったからか……暗いな。目を閉じろ。スマホのライトを点ける。後ろを向け、そうだ、それからその水草の服脱げ。恥ずかしがってんじゃねぇ、大事なことだ。

脱げ。

言うことを聞かねぇなら、晩メシは薄いハムだ。ああ、4つ繋がってるパックの薄いハムの方だ。そうだな、言う事を聞くのが懸命だ。

やっぱりだ。お前、体が赤くなってやがる。病気か?普通の熱帯魚は体が白くなると、そりゃあ病気の合図だ。お前の場合どうなんだ。赤ってのは病気なんじゃねぇか?よく見ると顔も赤いな……上向いてみろ、首もだ。背中もケツんとこも赤くなってる。

一応薬ってのもあるが……全部熱帯魚用だ。お前にも効くのか?いや、わかるわけねぇよな。ちょっと待て、調べる。

心配するな。俺が絶対に治してやる。いざとなったらハンジのやつにも相談する。馬鹿言え、あいつはあんな風だが、頭はキレるやつだ。キレちまってる時もあるが……とりあえず検索だ。スマホってやつは便利だな。

とりあえず熱帯魚の体で調べる。いや、お前な……そもそも最初は熱帯魚なはずだったんだ。最初だけは、な。

あった。これか……?熱帯魚の体の表面の色が変わる場合……発情……期……だと?

ナマエ、発情してんのかお前は。

心なしか息も荒くねぇか?待て、落ち着け。ガラスを叩くんじゃねぇ。暴れるな、砂が散ると水草が痛む。落ち着けと言っている。

わかった、俺の指を水ン中に入れたらいいんだな?最初からそう言え。それくらい別になんてこと……お前、そりゃあ、犬猫の発情の仕方じゃねぇか。オイ、ちょっと離れろ。

いや……別に構わねぇが……流石にこのままは指が疲れちまう。そうか……発情期か……発情期か。

お前がもう少し人間くらいのデカさで、水の中から出て来られたらな。俺にも治してやれる症状だが。今は撫でてやるのがせいぜいだ……すまねぇ。

辛いか?落ちかねぇよな……なんたって、発情期ときたからな。心なしか髪のツヤがいいな。そういうモンか……発情期だからな……そうか。

これはフェロモンってやつか?ずっとお前のことを見つめていたくなっちまう。

まぁ、いつものことだが。飽きるわけねぇだろ、可愛くて仕方ねぇんだ。

そうだ。発情期でもな。

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