▼ あの人はわたしの
あ、起きてきた!お腹すいたの、ごはん!ごはん下さい、ハムがいい!
待て、だって。待てるわけないのに。もうお腹ぺこぺこ。今日はお天気がいいから、もう外が明るいの。だから早くに目が覚めたんだよ。
早くごはんも食べたいけど、起きたらまずは、おはようのちゅうだよ。リヴァイ、ほら、ほら!ちゅー!
頭なでなでしてくれるの?水面に顔を出すね。はい、いっぱいなでてくれていいよ。待って、足りない。もっと。もう、指貸して!そう、もっと撫でるの。ありがとう。お礼に指にもちゅうしてあげる。
あ、ネクタイ。
ネクタイしたらリヴァイはカイシャに行くんでしょ。もう覚えたよ。行っちゃやだ!行っちゃやだ!だめ!だめだめ!
わたしの力でこの水槽が割れるわけないでしょ?何言ってるの。これは抵抗だよ。リヴァイがカイシャに行かないように。
本当?早く帰ってきてくれる?時計の長い針が12で……短い所が6ね。わかった、そうなったらリヴァイは帰ってくるのね。わたし、ずっと見てる。ううん、帰ってくるまで時計だけ見てる。だって寂しいんだもの……どんなに綺麗な水草を入れてもらったって、美味しいハムをもらったって、リヴァイと一緒にいる時の方が嬉しいよ。
ごめん、ちょっと嘘ついた。美味しいハムは同じくらいかもしれない……。
あーあ。今日もわたしを置いて行っちゃうのね。当たり前でしょ、最後まで抵抗し続けるよ。リヴァイも諦めてくれたらいいのに。
そうなんだ……毎日カイシャに行かなきゃ、このお部屋も私のハムも手に入らないのね。人間って大変ね……ハムもね……いってらっしゃーい!
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