▼ 月曜日のへっぽこ娼婦ちゃん
もたもたするな!埃は残ってないか?装置も全て片付けるんだ!急げ急げ!今夜は兎に角、俺達の兵長を早く自室に戻して差し上げるんだ……若き調査兵らは皆、一様に瞳でそう語る。
それもその筈、前日贈呈した彼等の「兵長へ癒しのプレゼント」は功を為し、なんと今夜は兵長自ら、昨夜と同じ娼婦を部屋に招いたというではないか。
調査兵団では調査兵以外の立ち入りを門番が全てチェックする。今朝方リヴァイが「夕刻・ハイスの宿よりナマエ」というメモを門番に渡した際、2人の門番は手を取り合って他の新兵達に報告へ向かった。
昨夜と違って今夜はリヴァイ兵長の自腹であるのだが、若き新兵らは代表者数名で「ハイスの宿」へと出迎えに赴いた。もちろん、馬車である。
異例の待遇で、ナマエは今夜もリヴァイの部屋を訪れたのだが。
「来たか。座れ」
今夜はすでに兵服を脱ぎ、黒いシャツとズボン姿のリヴァイはナマエが来るなり紅茶を淹れ始めた。それを見たナマエは焦る。連続で呼びだされたという事は、決してナマエはリヴァイに嫌われているというわけではないのだろうけれど。昨夜はとうとう、最後までは至らなかったのだ。
「リヴァイ様、今夜はご提案があります!」
「なんだ」
「素股からはじめてもいいでしょうか?」
ナマエの瞳は輝いていた。実体験の伴わない性知識は、姉貴分の娼婦達からの入れ知恵であろう。
「断る」
「そんなこと言わずに!じゃあ、やっぱりフェラチオから……」
「違う、話を聞け」
テーブルの上の紅茶セットはそのままに、リヴァイはソファへと腰かけた。扉の前で立ったままのナマエに、リヴァイは中指をクイと曲げて呼び寄せる。
遠慮がちにリヴァイの隣に座ったナマエ。2人の膝頭も控えめにあたる。
「別にお前に突っ込むために呼んだわけじゃねぇ」
「突っ込むためじゃない……」
「ああ……まぁ、なんだ。空いた時間に、兵団以外の人間と話すのも悪くねぇ」
リヴァイの厚い胸板が大きく膨らみ、すぅ、とため息と共に薄くなる。吐き出した息には多くの不純物が混じっている。肉体的じゃない疲労や、遣る瀬無い徒労や。
「じゃあ……お話ししながらぱふぱふしますか?」
ぱふぱふ、が何を意図するものかリヴァイにはすぐにピンと来ず、一瞬開きかけの口をそのままに、ナマエの方を見やった。ゆったりとしたオフショルダーのワンピースを着ていたナマエ。制止する間も無く、肩の部分をするりと腕から引き下げ、小さなぱふぱふ……もといおっぱいを丸出しにする。
「オイオイオイ、待て、落ち着け」
「大丈夫です。普通にお話しできますので!」
「そうじゃねぇ」
おっぱい丸出しのまま、ナマエはソファから降り、膝をついてリヴァイの脚の間へと割って入る。リヴァイも寝間着のような恰好だったので、ベルトはしていない。ここまでくると、力ずくでナマエを止める気にもなれず、リヴァイは両肘をソファの背もたれに乗せたまま、ナマエの成り行きを見守った。
「こうすると、リラックスできるんですって!」
そりゃあもっと、こう、胸のデカイ女がするもんだ……という感想をリヴァイは寸での所で飲み込んだ。ナマエは可愛いと思う。一緒にいて癒されることは確かだ。しかしそれとこれとは別というか、残念ながらリヴァイ自身はそんなに勃っていない。
(その乳に今の俺の状態……とても出来るとは思えねぇ)
かき集め、寄せ上げて、どうにか挟もうとするナマエの姿は健気だった。性的興奮とは別のベクトルがリヴァイに新たな癒しを与える。
「あれ?あれ?おかしいなぁ。ど、どうですか?リヴァイ様」
「……悪くない」
くしゃり、とリヴァイがナマエの前髪をかき上げると、ナマエは照れ臭そうに笑う。
ナマエがいる室内はナマエのテンションだけで高いものだが、時間が幾分かゆっくりと流れる。2人の関係もきっと同じ。ついでに現在の兵士長の下半身も同じ。むくむくと、静かにゆっくり育っていくのだ。
「オイナマエ。明日も、来るか」
「ええええ!いいんですか?とっても嬉しいです!明日も頑張りますね!」
夜が更けると空気は冷たくなる。さて、いつナマエに服を着せようかと思案しながら、リヴァイは今しばらく股の間のナマエを眺めるのであった。
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