「青峰に会ったよ」
そう言うと黒子は、読んでいた小説から顔を上げた。やっぱり、瞳には光がない。苦手である。
「やっぱり、好きだった」
ぱつり、あたしたが呟くと「そうですか」と彼は窓の外に視線を向ける。
ちらちらと雪が降り出していた。冬本番だなあと頭の隅で考える。
もし、あの日、青峰に再開しなければ、もう一度好きになることはなかったし、きっと自分の気持ちに嘘をつくことになっただろう。ケータイのアドレス帳に追加された青峰の文字をみるだけであたしは酷く嬉しい気持ちになるのだから。
「よかったですね」と黒子は笑った。黒子が表情を変化させるのは、道で10円拾うのと同じくらい珍しいので純粋にびっくりした。
「笑うんだね」と笑えば「人間ですから」と真面目に返された。
そういえば、桃井ちゃんが黒子のこと好きって言っていたが、あたしはコイツの良さなんかこれっぽっちも理解できない。やっぱり、青峰みたいにニカッと白い歯を見せて太陽みたいに笑う方がいい。表情が少ないとか何考えてるかわかんないし。

「頑張って下さいね」
「うっさい、ばか」

普通に応援されて恥ずかしかったのは秘密である。
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