「なにやってるんだ」
凛とした声に振り向くと、そこには体育の荒木先生が立っていた。綺麗な顔をしているが、めちゃくちゃ恐い事で有名な先生は福井の手元を見てニヤリと笑った。
「なんだ福井、ラブレターか」
「ちょ、監督っ!」
ひょいっと、福井の手の中にあった手紙を盗ると、しげしげと眺める。嫌な汗が背中を伝う。本来ならばれるわけがない。引きつった笑顔のせいで口角がぴくぴくする。福井なんか慌てすぎて、赤なのか青なのかわけわかんない顔色になってる。いや、お前はもう少し落ち着けよ。

「これ、差出人わからないのか?」
荒木先生は福井に尋ねた。「そうなんすよ、名前なくて…」福井が先生から手紙を受け取り、ポケットに乱暴に突っ込んだ。

「そうか、そうか」
ニヤニヤ顔の荒木先生は対外ロクな事を考えていない。雪が降り始めた時に自給走させた時もたしかこんな顔だったはず。
「福井、いいこと教えてやろう。その手紙の字は、名字のだ」
じゃあな、と爆弾を落として行った荒木先生。しばらく状況が理解できそうにない。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -