「ちょっと、岡村に聞いてくるわ。知ってるかもしんねぇし」
「いやいや、岡村はしらんだろ」

どうしてこうなった。教室から出て行こうとする福井の服の裾を引っ張って全力で止める。ちらちらと登校し始めた生徒は、変なモノを見るような目であたしたちを見ているがそんなことは気にしてられない。「服のびんだろ!」福井の叫び声を無視して必死で引きとめる。てか、なんで岡村だよ。そんなツッコミはしない。
ちょっとまて、こんなに必死にあたしが引きとめたりしてたら、ばれちゃうんじゃ…と、普段はあんまり機能しない脳みそが働く。なんでお前そんなに必死なの、まさか!これお前が書いたとか…、脳内シュミレーション福井が心底気持ち悪いというようにあたしをみる。サーっと顔から血が引いて行く。やめてくれ。瞬間、あたしの力が緩んだことをいいことに、福井は岡村の元へ駆けていく。しまった!あたしは福井の後を全力で追いかける。

「ラブレター羨ましすぎるわ!」

岡村の声が響く。勝手に岡村のクラスに入っていくと、あたしに気付いた福井が「岡村もわかんねぇだって」と、泣いている岡村を無視して、あたしの元に来る。「誰からなんだろな、まじで」そう言いながら見せられた便箋には、嫌というほど見慣れたあたしの字で、福井へと記されていた。

「ワシもモテたいいいいい」
「うっせぇぞ、岡村ァー、バスケやってたらいつかモテるって」

今だに泣いている岡村を、適当にあしらった福井は、「誰んトコいこーかな」恐ろしい言葉を吐いたのだった。勘弁してくれ。
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